病気ではないからこそ辛い「認知症」神戸市の画期的な支援とは

 

ただ、その一方で神戸モデルでは「保険」が軸にあるため、認知症の早期発見が極めて重要になります。つまり、「認知症」という診断名があって機能するモデル。これは…結構きつい。はい、かなりキツイ。そう言わざるをえません。

「認知症」という言葉は、家族はもとより「本人」にはとてつもなく重い言葉です。

診断される→治療できる→効果が出る

というプロセスが確立していればいいのですが、残念ながら認知症につながる病気への特効薬はいまだありません。その不確かさが、認知症の人=厄介な人とイメージを生んでいる。

「迷惑をかけてしまって申し訳ない」
「なんでこんなバカになってしまったのか」
「一生懸命努力しているんだけどね……」
「こんなになってしまって恥ずかしい」
「認知症になって子に恥をかかせたくない」etc.etc.

これらは年を取り、「今までできていたことができなくなった」高齢者が、こぼす言葉です。

高齢者の多くは「認知症になったらどうしよう」という不安を抱えている。そんな状況で「認知症」という診断を受け入れるのは、当人も家族も容易ではありません。

本来であれば、「認知症」という言葉を使わなくても、年齢を重ね認知機能が低下した高齢者が安心して暮らせ、「年とりゃ誰だってそうなる。仕方がないよ」と笑い飛ばせる余裕のある社会になればいいのですが、みんなどこか他人事。

社会のスタンダードは、私たちの子供の頃からちっとも変わってない。

つまり、保険で損害をフォローする仕組みを作る一方で、スタンダードを変えることが必要不可欠です。

階段の手すり、大きな文字、大きなスイッチ、見分けやすい色などのハード面に加え、私たちのマインド、つまりソフト面のスタンダードも高齢化社会に合わせる。私たち自身が、おじいちゃんおばあちゃんの目となり、耳となり、手すりとなる。

そんな小さな、高齢者にやさしい行動が当たり前の社会を目指したいです。

みなさんのご意見もお聞かせください。

image by: Shutterstock.com

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2020年2月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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