【書評】なぜ韓国の反日志向は世代を超えて増幅し続けているのか

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朝鮮半島の統一を希求する韓国の文在寅大統領ですが、政治体制、経済規模ともに開きのある南北がひとつになるなることに、そもそも無理はないのでしょうか。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが取り上げているのは、人気の予備校世界史講師が東アジア地政学を読み解く一冊。そこには、衝撃的な「5年後」が記されていました。

偏屈BOOK案内:茂木誠『2025年 韓国はなくなっている 日本人が知るべき東アジアの地政学』

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2025年 韓国はなくなっている 日本人が知るべき東アジアの地政学
茂木誠 著/悟空出版

著者は駿台予備校、N予備校で大学入試世界史を担当。iPadを駆使した独自の視覚的授業が好評を得ている、と著者紹介にある。編集部から「東アジア地政学」という企画を受けた段階で、「嫌韓本・反中本として書店に並ばないようにしてください」と申し入れた。教え子には中国系、半島系の子が多くいる。彼らが読んでも納得してもらえるよう、客観的、中立的な記述に努めたという。

それでも中国や半島には厳しい見方をしている理由は、いまも続く一党独裁、人権抑圧体制に対する批判であり、中国人民、朝鮮人民の側に立った批判であるからだ。著者はこのような政権との「友好」を唱える者たちこそ、「自由を求めるアジア諸国民」の敵であると考えている。地政学と世界史によって、東アジアの歴史と未来をすっきりと読み解き、日本はどうすべきかを考察する。

数年先に韓国はなくなっている。「統一朝鮮」が早ければ5年、遅くとも10年以内に出現する。文在寅政権は韓国歴代政権の中でもっとも北との統一を志向している、特異な政権である。21世紀の先進国では、伝統回帰の保守勢力が優勢だ。日本の団塊の世代は影響力を失い、韓国だけが理念先行のリベラル系勢力が大きな支持を得ている。韓国の386世代は20年遅れの団塊の世代である。

日本統治そのものを全面否定し、その痕跡さえ消し去ろうとするのは、朝鮮半島だけに起きている現象である。朝鮮半島だけがいまだに反日志向が変わらない。それどころか、世代を超えて増幅しているのはなぜか。その原因は日本にではなく、朝鮮半島の人々の脳内に求めるのが合理的である。著者はその原因を、朱子学が定める「華夷思想」であろうと考えている。

もちろん今の韓国に科挙はなく、学校で朱子学を教えているわけでもない。しかし朝鮮王朝500年余の間、知識人の間で骨の髄まで染みこんだ「思考の型」は、国民性として受け継がれるものである。英国人のジェントルマン気質。米国人のフロンティア・スピリット。日本人の武士道の倫理観「恥の文化」は、脈々として現代の日本人に受け継がれている。朱子学を原理とする両班(ヤンバン)文化が、現代の朝鮮半島の人々に受け継がれていないはずがない。

韓国はいまもなお強力な学歴主義、学閥主義で、大企業や公務員に就職人気が集中し、就職浪人も普通である。科挙がサムスンの入社試験や公務員試験に置き換わっただけである。韓国にも左右の対立がある。世界基準では右派は国家権力重視・伝統回帰派、左派は個人の自由・人権尊重派である。

ところが韓国では、右派・保守派は親米親中。文在寅の左派・進歩派は中国とも相容れない強烈な朝鮮民族至上主義者であり、保守派以上に妥協の余地がない勢力であることは、日本では殆ど理解されていない。米韓同盟は解消され、半島の将来はウリ=朝鮮民族だけで決めるタイミングがやってくる。金正恩は武力を使わず独裁体制も温存したまま統一へと進む。進歩派はこれに追随する。

韓国の財閥は北の労働者の劣悪な労働条件を利用して利益を追求し、独裁者一族に献金する。北への工場移転で南の産業は空洞化し、賃金も下がり、韓国の若者は慢性的な雇用不安に悩まされるでしょう。これが私の予想する「夢の半島統一」の姿です。

朝鮮民主主義人民共和国が栄えて大韓民国が沈没する。5年後にこうなるという。韓国の友人にぜひ読ませたい本である。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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