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どうして多くの大学生が3月に海外渡航していたのか?

ところで、この間に「2月末から3月にかけて欧米への渡航」をして、帰国した人が無症状のまま感染を拡大させているという事例が出てきました。この問題ですが、5つ指摘しておこうと思います。

1つは、これは武漢からのチャーター機帰国と同じ性質のもの、つまり日本人が「危険回避」のための緊急帰国ということです。

2つ目は、にも関わらず、3月11日頃までは全世界が欧米での感染拡大の危険性を認識していなかったのは事実です。ですから、対応が遅れたのはどうしようもない不可抗力としか言えないように思います。

3つ目は、帰国者への14日の自主隔離、公的交通機関利用自粛について、急に発表したことが、かえって駆け込み帰国を引き起こしたという問題で、これはもっと他に方法論はなかったのかと思います。

4つ目は、多くの大学生がこの時期に欧州や米国に渡航していた理由ですが、中にはこの令和の時代に「卒業旅行」などというトンチンカンなことをやっていた(つまり、就職イコール服役か徴兵と勘違いして、学生のうちに海外旅行という発想が古すぎ)若者もいるようです。ですが、多くの場合は短期留学で、しかも国のあっせんで民間企業の寄付による制度を利用したもののようです。ですから一方的に批判することはできないように思います。

5つ目ですが、こうした帰国者がウィルスを持ち込んでいるというのは事実と思いますが、実際は、このグループについても、クラスター防止のために相当な追跡ができているように思われます。3月の帰国者が欧米から感染力の強いウィルスを持ち込んでいるので、今回の第二次感染拡大が起きているというのは、ウソではありませんが、それが全てではないようにも思われるのです。

image by: PhotographerIncognito / Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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