年金「75歳から」法案が審議入りでどう変わる?変更点まとめ

2020.04.20
by tututu
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年金を受け取り始める年齢を75歳まで繰り下げ可能にするための年金改革関連法案が、14日の衆院本会議で審議入りした。政府・与党は今国会での成立を目指すというが、では具体的に何がどう変わるのだろうか? その変更点をまとめてみた。

受給開始年齢が75歳まで延ばせる

現在、公的年金の受給開始年齢は原則65歳だが、60歳から70歳まで選べることになっている。その上限を75歳まで引き上げようというのが大きな変更点。

年金を繰り下げると、繰り下げた月数分、0.7%ずつ年金額が増えるため、仮に75歳まで120ヶ月繰り下げると、65歳開始の人に比べて毎月の年金額が84%増える仕組みとなる。

したがって、65歳以降も働き続け、年金に頼らずに生活できる人は、年金の受給開始年齢を75歳まで繰り下げることにより、その後の年金額を増やすことができるようになる。

厚生年金の加入要件を緩和

高齢者らが多いパート労働者などが厚生年金に加入できるよう、加入要件である企業の従業員数の基準を緩める。現在は「501人以上」となっているが、これを段階的に下げて「51人以上」にするという。加入要件を緩和することで、新たに65万人が加入する見通しだ。

より多くの短時間労働者が厚生年金の被保険者となることで、勤め先の健康保険に加入することになる。その結果、病気などで休業した場合の傷病手当金などの保障が充実するとともに、老後の年金額を増やすことができるようになるという。

安倍首相はこれについて「社会保障制度の支え手を増やし全ての生活者の安定につなげる」と語っているが、野党側はこの要件を撤廃する法案を今国会に提出している。首相は「企業規模要件は最終的に撤廃すべきだ」としつつ、「特に中小企業への影響が大きいことから、今回は段階的に適用範囲を拡大する」と述べ、理解を求めた。

在職老齢年金の引き上げ

在職老齢年金とは、一定以上の収入がある高齢者の年金の一部を減らす制度。現在は60~64歳で賃金と年金の合計額が月28万円を超えると、年金が減ってしまうことになる。しかし、これでは働く高齢者が報われない。働く意欲を削ぐことになってしまっていた。

そのため、今回の法改正ではこの基準を月47万円超までに引き上げる。22年4月から適用されるが、47万円を超えると、一部または全額支給停止となる。

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