検察庁法改正問題、見出しだけでなく記事まで政府を擁護する読売

 

人々の怒りに火が点いた

【毎日】は1面トップと3面の解説記事「クローズアップ」。見出しから。

(1面)
野党、定年延長で修正案
「検事総長68才」削除

(3面)
恣意的人事に懸念
検察庁法改正案
SNSで抗議400万件
生活優先されず「怒り」
「内閣が判断」の新規定

●uttiiの眼

《毎日》の特徴の1つは、1面トップの見出し。立憲民主党などの野党が、修正案を出す方針であることを重要視している点。修正案は、全検察官の定年を63才から65才に引き上げる規定はそのままに、検事総長の定年を特例的に68才まで3年間(1年ずつ3回)延長できるようにしている部分などを削除する。検事総長の政権に対する忖度を引き起こしかねない規定に照準を合わせようということだろう。

3面の解説記事は、ツイッター上にあふれる抗議の声に、野党側は気を強くしていて、「世論が味方に付く」と解して採決妨害などの物理的抵抗も辞さない勢いであること。与党側は、《朝日》のところで紹介したように「1人で100万件の可能性もある」と言ったり、数百万という数字に対する疑いを口にする議員がいたりする一方で、自民党の国対からは「やるしかないけど、本当に気が重い」とホンネも漏れているとする。

《毎日》は400万という数字を採用しているが、とにかく膨大なツイートが集まっていることについて、「特徴的なのは、政党支持者や、普段から社会や政治について発信している人以外からとみられる投稿が多いことだ」として、演出家の宮本亜門さん、俳優の浅野忠信さん、井浦新さん、小泉今日子さんら著名人の投稿が相次いだことをその要因に上げる。

昨夏の参院選で「れいわ新選組」が躍進した時は、特定政党を支持する動きであって、精々10万件程度だったが、今回はそれを突き破った。そうした広がりの「着火剤」と「燃料」になったのが、「(誰かが作ってツイッターに投稿した)法案と与党の相関図などの分かりやすい材料」で、威力を発揮したようだ。

重要なのは、人々が新型コロナウイルスの感染拡大で先行きを不安に感じ、政治が身近になりつつある時に、「検察官の定年延長」という「生活に無関係な問題が優先されることに対する水面下の怒り」が刺激されたとしている点。

政府は人々の頭が新型コロナウイルスでいっぱいになっている時だからこそ、「文句も出ないだろう」と高を括って身勝手な法案を無理やり通そうとしているのだが、人々はかえって、政府のそのような動きに怒りを持ったということ。われわれの命と生活をないがしろにしておきながら、気に入った検察官の定年を延長するとは何事かと、いわば怒り心頭に発したということだろう。与党は完全に世論動向を読み間違ったことになる。

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