渋沢栄一の子孫が提言。コロナ終息後に待ち受ける世界の姿とは

 

しかし「フレーミング」は、「無限門」のように、その特定の場でしか体感できないというサイト・スペシフィックの問題もあります。そこで必要になってくるのが「トランスレーション」です。

デジタル技術の発展により、情報のトランスミッション(伝達)の効率性は著しく向上しています。成果を測定する数値化は、まさに情報のデジタル化であり、数字は万人の共通言語となります。しかし、情報の送り手が体感しているコンテクストが受け手にも体感できないようであれば、ロスト・イン・トランスレーションに陥る可能性が高まります。

今回のフォーラムで登壇者としてご一緒させていただき、「協生農法」を提唱されている船橋真俊さんのお話は大変表現力と洞察力に富み、オンライン・フォーラムに参加された約1,500名の聴講者の方々と共に、私もグングンとお話に引き寄せられました。

単一的なモノカルチャーではなく、多様性を重視する協生農法によってアフリカのブルキナファソの砂漠地帯を、豊かな生態が宿る緑園へと変身させた船橋さんの検証実験は、「社会的共通資本」やポスト近代化社会の具体的なカタチであると感じました。

しかし、そのフォーラムに参加しておらず、且つ、大量生産、価値のマネタイズなどの従来からの近代化マントラ(真言)に染まっている多くの人々にとって、情報としてインプットがあったとしても、体感は難しいでしょう。

そして、体感がなければ、自分コトとして考えられず、自分コトとして考えられなければ変化は生じません。情報だけでなく、その場の体感に関する「トランスレーション」が必要となります。

現在、新型コロナウイルス感染症をきっかけに、世界の常識が大きく変わろうとしています。豊かな経済社会とは何か。社会的共通資本やポスト近代化社会が現実的なのか。それは「わかんない」です。

しかし、そこには存在感や可能性を感じます。より謙虚にオープンに、好奇心と想像力を活かす「フレーミング」と「トランスレーション」により、今まで見えなかったものが見えてきて、新しい時代の常識として広く普及するかもしれない。そう考えると、とてもワクワクします。

□ ■ 付録:「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」■ □
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『渋沢栄一 訓言集』学問と教育

今日の教師を視るに、その多くはただ文字を講義し、義理を伝授すれば本文をつくしたもののごとく考え、生徒もまたあたかも寄席にて軍談でも聞くような気持ちでおる。

コロナ禍によって子供たちが登校できなくなり、オンライン教育では十分学習ができていないという報道が目立ちます。でも、どのように教育して良いか「わかんない」時に、今までの教育の現場の常識に捕らわれることなく、「フレーミング」や「トランスレーション」ができている教員や学生たちは、新たな教育の可能性も感じたはず。そう期待しています。

『渋沢栄一 訓言集』処事と接物

人は尊卑を通じて、同情心がなくてはならない。しからざれば人にして人ではない。この心なくして、単に自己の利益のみを図り、他を頼みざるがごとき無情冷酷のふるまいは最も警めねばならないのである。

「心」があって初めて経済は動く。「心」という豊かな社会に欠かせないものは金銭に換算できない。

 

「資本主義と闘った男」である宇沢弘文先生と「日本の資本主義の父」である渋沢栄一の思想は、かなり通じ合うものがあります。このような「資本」が21世紀の常識になってほしいですね。

謹白 渋澤 健

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渋澤 健(しぶさわ・けん)

国際関係の財団法人から米国でMBAを得て金融業界へ転身。外資系金融機関で日本国債や為替オプションのディーリング、株式デリバティブのセールズ業務に携わり、米大手ヘッジファンドの日本代表を務める。2001年に独立。2007年にコモンズ(株)を設立し、2008年にコモンズ投信会長に着任。日本の資本主義の父・渋沢栄一5代目子孫。http://y.bmd.jp/bm/p/aa/fw.php?d=70&i=ken_shibusawa&c=91&n=15239

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