徳田医師が明かす「PCR検査」の真実。感度・特異度・偽陰性を正しく理解する

 

東京の医療従事者に検査するとどうなる

特異度99.997%と、前述の感度の値70%と合わせて、東京の医療従事者約40万人に検査を行うものとする。この40万人のうち400人(0.1%)が新型コロナウイルスにその時点で感染しているとする。今の東京ならこの数値の状況はありえる。検査対象者が属する集団が感染している平均的な確率を「検査前確率(事前確率)」と呼び、ここでは0.1%となる。

東京の医療従事者全員にPCR検査を実施したときの計算をしてみた。すると、間違って陽性と判定してしまう非感染者が、12人(39万9600人×0.00287)となる。陽性の検査結果が出た人たちのうち、実際に感染している人の割合を「陽性的中率」という。これを計算すると280人÷(280人+12人)×100なので、95.890%となる。

陽性と判定した人の中で本当に感染している人は、100人のうち95~96人となる。あえて100歩譲って、特異度99.997%であると仮定しても「偽陽性」の人が最大でも12人しか出ないことになる。隔離対象となる292人のうち真の感染者の280人は、病院に出勤せずに保護待機となり、この人々からの患者への感染伝播は完全に阻止できる。

もちろんそれでも偽陰性は120人でるので、検査を毎週行うなどのように回数を増やすとよい。2回行うと感度は91%に上昇することがわかっているからである。さて、今回の例では「仮に」特異度99.997%としたが、一旦感染押さえ込みに成功し地域での新規感染者が減ると、この検査の特異度がさらに上昇することがわかっている。

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