【書評】“しくじり”だらけの日本の歴史が最強のビジネス書となるワケ

 

賄賂政治を行った極悪人として描かれることの多い田沼意次だが、彼は江戸時代では数少ない「生きた経済」を理解する政治家だった。貨幣経済を促進し、民衆を富ませて税増収を図り、財政を健全化させた。

しかし、彼の現実に基づいた政策は、儒教原理主義に凝り固まった幕府の幹部達から拒絶された。とくに松平定信は、名門出身ではない意次を見下すどころか、激しく憎悪した。

彼らは、貨幣経済を進展させて商売を振興、税収を増やして財政改革をしようという意次の現実的な考え方は評価せず「商売は卑しい」という固定観念で改革を否定した。

先例にこだわり、経済も道徳・法でコントロールできると考えた定信ら頑迷な旧守派によって意次らは潰され、江戸幕府は財政改革の最後のチャンスを自ら葬り去った。

やはり赤穂事件の真実を知りたい。オーソドックスな「忠臣蔵」とはフィクションであるから。

現代風に解説すると「江戸幕府ホールディングスが重要な取引先を招きイベントを行っていた中、突然、プロデューサー・吉良を子会社である(株)赤穂の代表・浅野が殴りつけ、接待を台無しに。(株)赤穂は倒産し、社員である武士たちも路頭に迷うことになったようなもの」。うまい!

読んで見ないと、この本の面白さはわからない。

知的とは正反対の不快で愚かな装幀は、まともな読者を逃している。なんでこんな馬鹿なことをしたんだろう。確信犯的しくじりか(って、どんな意味かわたしにもわからん)。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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