じゃあ、老齢基礎年金はどう計算するのかというと、まず先に満額は781,700円ですと決める。そして、20歳から60歳までのどんな職種であろうが国民年金に同時に強制加入してる厚生年金期間を使う。
例えば、18歳から50歳までの384ヶ月間厚生年金に加入したら、20歳から50歳までの30年間が老齢基礎年金の額になる。
つまり781,700円÷480ヶ月(上限)×360ヵ月(30年)=586,275円
これを見比べてみると、従来の計算で支給してた定額部分のほうが有利になってるのがわかりますよね。
老齢基礎年金は20歳前とか60歳後の期間が入らないから定額部分の時より金額が少なくなっています。定額部分を昭和61年4月で廃止して、代わりに老齢基礎年金から支給する事にしたものの計算のやり方の違いで差額が出て、年金額が低くなってしまった。
従来の厚生年金として支給してた定額部分は、厚生年金の加入期間はすべて含めて計算していたが、定額部分の後継者となった老齢基礎年金は20歳から60歳までの厚年期間しか使わない。という事は20歳前から働いてる人や60歳以降も厚生年金に加入して働いてる人は不利な事になる。
じゃあどうするかというと、定額部分と老齢基礎年金の差額を支給するんですね。上記の例で計算式にすれば、1,630円×384ヵ月(全厚年期間)-781,700円÷480ヶ月×360ヵ月(20歳から60歳までに加入した厚年期間)=625,920円-586,274円=39,646円の差額を支給して、不利にならないようにする。
従来の厚生年金の計算式で支給していた定額部分と、その後にバトンタッチされた老齢基礎年金との差額を埋めるために加算されるのが経過的加算(差額加算ともいう)。
現在は定額部分を受給してる人はほとんどいませんが、20歳前とか60歳以降も働いてる人が当然いるので、年金額が不利にならないようにこれから65歳になる人であっても経過的加算(差額加算)として支給されます。
※ 追記
厚生年金期間が20歳から60歳までの間に納まってる人は全く差額は出ないかというとそうではないです。仮に上記の384ヵ月が20歳から60歳に納まっていても、計算式の違いで差額が出る。
定額部分1,630円×384ヵーー老齢基礎年金781,700円÷480ヶ月×384ヵ月=625,920円-625,360円=560円
この560円(年額)が差額加算となって65歳以降支給される。
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