なぜ、国民年金を全額「税金」で支払っていた時期があったのか?

Japanese yen money banknotes and coins with calculator on the table, selective focus
 

しかしながら保険料を納めるようにしようとしても、国民年金法ができた時点でそもそも保険料を納められない人がいるわけです。全ての人に年金を出したいのに、保険料を支払わなければ出さないというのは酷なので、年齢的に保険料を支払えない人に対しては税金で支払うより他ないという事で全額税で支払われる人が居たという事です。税金で年金をやるのはあまりにも財政を圧迫するので、常に税金で国民年金を運営するわけにはいかないけども、やらざるを得なかった理由がそこなんですね。保険料納めた人だけが貰えるという制度が年金ではありますが、国民皆年金としてすべての人に年金が貰えるようにしたいという中で、すでに高齢で保険料納めれない人を除いてしまうと国民皆年金にはならないからですね。年齢という本人の努力ではどうしようもない理由の人は、国が一方的に支援するしかない。

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それにしても全額税による支払いが、保険料を支払って備える年金より先に行われたという事で心配があったんですね。

先に税金による年金の支払いをすると、年金は恒常的に税金で支払うという流れになりかねないから。最大野党だった社会党は国民年金は全額税金でやれってうるさかったですからね。

なのであくまでも補完的にやるものであるという事を幾度となく説明に加えられて、「年金は税で支払え」という税金派の意見を抑えていました。昭和34年4月に国民年金法が出来て、昭和34年11月分から昭和35年2月分までの4ヵ月分が昭和35年3月3日に支払われました。

令和現在のようにまだ偶数月の15日支払いではなかったですね(今のように偶数月に前2ヶ月分支払うのは平成2年2月改正から)。年金額としては月額1,000円でしたので、当時の貨幣価値としても低いものでした。やはり税金でやるとかなり給付が低くなるし、国の財政の都合ですぐ引き下げられてしまう。更に厳しい所得制限までかかってしまうのが税方式の年金。よく以前は野党辺りが全額税で年金を支給すべきと言ってましたが、さすがに今は税方式の年金を主張する事は無くなりました。税だとこのように制限が多すぎるし、どうしても給付が低くならざるを得ない。本末転倒でしかない。保険料を支払うタイプの年金は所得制限を掛けるのは禁じ手であり、安定して税より高い給付をする事が出来る。

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