総務省・携帯電話ポータルサイトは職員の手作り――アクションプラン「接続料値下げ」は前倒しで達成
3月5日、一般社団法人テレコムサービス協会MVNO委員会による「モバイルフォーラム2021」がオンラインで開催された。
基調講演に総務省総合通信基盤局電気通信事業部長の今川拓郎氏、パネルディスカッションには総務省総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官の大内康次氏が登壇。昨今の競争政策についての取り組みが語られた。
そもそも、総務省として日本の携帯電話料金はどうみているのか。今川氏は「国際的に見て、日本の携帯電話料金が高いという状況ではない。ただ、大容量プランでは欧州の安い料金に対抗できるプランがない状況」とした。小容量プランにおいてはMVNOという選択肢があるが、20GBプラン以上においてはキャリアしか選べないのが問題視されたようだ。
12月以降、3キャリアが相次いで3,000円以下のオンライン専用プランを出した。MVNOからは「採算割れしていないのか、スタックテストを実施すべき」という意見が出された。そこで、総務省が調べたところ「ahamo、povo、LINEについては内部で採算性を確認したが、赤字ではないが、各社、ギリギリのところを攻めている」(大内氏)とのことだった。
2月の段階で赤字スレスレということを考えると、果たして、3月1日に2,980円の1割弱に当たる280円の値下げをしたahamoは大丈夫なのか気になるところだ。また、500円の1回5分までのかけ放題オプションを1年間、無料にするというキャンペーンを仕掛けてきたLINEMOは、やはり採算ギリギリということで、値下げではなくキャンペーンで乗り切ろうとしたのか、など想像は膨らむばかりだ。
3キャリアがオンライン専用プランを出したことで、接続料の算定にも影響を及ぼし、「3年間で接続料を半減させるというアクションプランの目標は1年前倒しで実現する見通し」(今川氏)という。
MVNO各社は、3キャリアのオンライン専用プランを受けて、さらなる値下げプランを投入。経営的にさらに厳しい状況に追い込まれる可能性があったが、接続料が半減される目処が立ったこともあり、なんとか首の皮一枚、つながった感がある。
昨年、アクションプランにも掲げられていた総務省による乗り換えを促すポータルサイトについて、今川氏は「携帯電話ポータルサイトは総務省職員の手作り。センスがいまいちと思われるかも知れないが、これから洗練されたデザインにしていく」としていた。
現場レベルでは、地道に競争政策を進め、成果が出始めようとしている中、幹部の不祥事によって、総務省全体が疑念の目で見られてしまうのは、なんとも不憫でならない。
image by: 首相官邸