中小企業はBCPに対する意識が低い
基本的に大企業では、業務継続計画(BCP)と称されるものを、全体の8割以上は作成している。その一方、中小企業、個人事業主ではそれがほとんど進んでいない。全体の2~3割程度である。
そこに新型コロナ対策のBCPとなると大企業でも昨年から少しずつ、加味する動きは出てきたがかなり少ないし、中小企業はほぼ皆無である。経費の問題やBCP専門家を確保し、定期的に講習や訓練を受ける意識醸成がされていないことが背景にある。
新型コロナ対策や自然災害対応、ネットワークダウンなどあらゆるリスクに対応し、経営を維持するための助けになるのだから、構築したほうが企業へのメリットは大きい。
しかし、中小企業では、こうしたリスクがたまにしか発生せず、おおむねそれへの投資意識が低い。ひとたび、今回のような大規模で長期間にわたって経営に深刻な影響を及ぼす感染症ならばその損失は莫大である。
BCPを策定して危機意識を全社員と共有する
あらゆる事態に備えてBCPを策定し、危機的状況が実際に発生した際に迅速かつ適切な方法で対応することが、事業の早期復旧の鍵になるのは自然災害時でも共通だ。
基本的なBCPの考え方として例で宿泊業を挙げる。基本的な目標は以下の通りである。(参考:中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」)。
- 「優先して継続・復旧を目指すことを確定」
- 「緊急時目標復旧時間を定める」
- 「緊急時に提供できるサービスのレベルを協議して共有する」
- 「代替となる事業拠点、生産設備、仕入品などを定量化」
- 「全ての従業員と事業継続についてコミュニケーションを図る」
その上で「事業を理解する」「BCPの準備、事前対策を行う」「BCP策定」「意識の高揚とその意識定着」「BCPの訓練、更新を行う」
日常から正しくBCPサイクルを運用するには、トップの意識と士気がいる。特に取引先などのステークホルダーや商工会議所などの「外部組織」との連携は、きちんと役割分担して活動しなければ曖昧になる。
周辺の観光などと密接に関わるホテル経営は、他の産業とは異なり地域や周辺の産業を大事にしないと、早期の営業再開や休業の回避は困難である。
北海道を含め、各観光地の事業主は、自らの経営対策のことで、手一杯のところが多いだろう。まだ、この苦境は長いし、コロナの影響が終わっても、次のリスクに備える必要があるといえそうだ。
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