650億赤字でニコンが一眼レフ国内生産終了。老舗企業はなぜ躓いたのか

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スマホのカメラが高性能になり、カメラ好きにはミラーレス一眼が支持されるようになって、一眼レフカメラの売れ行きは下がる一方です。そんな中、キャノンとともにカメラの世界をリードしてきた老舗のニコンが、一眼レフ本体の国内生産を切り上げると発表しました。今回のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』では、著者でジャーナリストの内田誠さんが朝日新聞に掲載された「ニコン」と「一眼レフ」に関する記事を紹介。一眼レフへの自信とこだわりにより、時流に乗り遅れた老舗の悲哀を伝えています。

ニコンが一眼レフ本体の国内生産切り上げ。新聞はニコンと一眼レフをどう報じてきたか

きょうは《朝日》からです。ニコンが一眼レフ本体の国内生産を切り上げるとの報道がありました。試しに「ニコン」と「一眼レフ」で検索すると、サイト内の5年間の記事の中から45件が見つかりました。これらを対象にします(そのうち8件については、見出しも抄録も出てくるのですが、記事そのものは「既に公開期限が過ぎている」というようなことで見ることができなかった。差し引き37件が対象に)。まずは6面記事の見出しと【セブンNEWS】第5項目の再掲から。

ニコン一眼レフ 国内生産終了へ
市場縮小で苦戦 本体をタイ工場へ
専門家「ミラーレス台頭 出遅れた」

デジタルカメラ大手のニコンは、一眼レフカメラ本体の国内での生産を年内で終了する。スマホのカメラの性能向上やコンパクトなミラーレス機の需要拡大などで近年苦戦を強いられてきた。現在宮城に残っていたプロ向け機種の生産をタイの工場に移管。

デジカメ市場全体の落ち込みは激しく、2012年に1兆4681億円だった国内外への出荷実績が、20年には4201億円と3分の1以下に縮小。コロナ禍の影響もあって、ニコンの売上高は前期比23.9%減(20年3月期)。営業損益は650億円の赤字になったという。

ニコンに固有の問題は、ミラーレスカメラへの対応が遅れたこと。キャノンとニコンは世界の二大巨頭だったのが、ソニーがミラーレスで台頭。2020年のデジカメ国内シェアで、1位キャノン(36.8%)に続くのはソニー(19.5%)で、ニコンは2社の後塵を拝してやっと3位(12.6%)に。

●uttiiの眼

一眼レフ本体の生産をタイに移管するのは、コストを削減するためだという。労賃が安いということなのだろうが、一眼レフが新しい技術開発の対象ではなくなったことの証左であり、やがて縮小を経て消滅していく可能性が高いように思う。それとも、何か大方の好奇心を刺激して、それこそワクワクさせてくれるようなカメラを、一眼レフの世界で新たに作りだしてくれるのだろうか。

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