上海在住日本人895人に逮捕の危険性。中国「人質外交」に配慮はムダ

 

中国には国家安全法という法律があります。ここには各民族の団結(26条)、宗教の名を騙った違法活動(27条)、テロリズム(28条)といった項目があり、これらに違反したものは処罰の対象になります。

したがって、895人の日本人もこの国家安全法に違反したとして摘発される可能性もあります。中国の場合、人質外交をよく行いますので、日本がウイグル問題で厳しい態度をとった場合、報復的に日本人を逮捕することもありえます。

たとえば昨年、オーストラリアが新型コロナウイルスの大流行の起源に関する正式調査を中国で実施するよう求めると、中国はこれに反発し、オーストラリア産のワインを輸入禁止にし、さらには中国で活躍するオーストラリア籍の女性を拘束しました。

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ファーウェイの孟晩舟副会長がカナダで逮捕された際には、中国でカナダ人が拘束されるケースが増えました。さらには、カナダ人の死刑判決も急増したのです。明らかな報復であり、人質外交です。

2日連続でカナダ人死刑判決 ファーウェイ問題で圧力か―中国

とくに、6月11~13日にかけて、G7首脳会議が開催されます。すでに、共同声明において、新疆ウイグル自治区での人権問題などで中国を名指しで批判することで調整に入ったと報じられています。

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場合によっては、このリストに含まれている在中外国人のうち、G7のいずれかの国籍の人たちが逮捕される可能性も否定できません。もちろんそのときは日本人も標的になるでしょう。ただし、東京オリンピックを1カ月後に控えているため、日本とは摩擦を避けるかもしれませんが。とはいえ、安心はできません。

オーストラリアの場合、中国の人質外交に対して、毅然とした対応で反撃しました。4月、国内のビクトリア州の政府が中国の「一帯一路」への協力のために中国政府と結んだ2つの協定を、オーストラリア政府は破棄しました。

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はたして、日本にこのような対応ができるでしょうか。もしも出来ないのであれば、中国にいる日本人を早く帰国させるべきでしょう。結局、人質外交の道具にされてしまうからです。また、日本企業も、いつでも社員が逮捕される可能性があることを認識すべきです。今回のリストの存在は、そのことを裏付けたともいえます。

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