首都高以外が大渋滞に。変動料金制度「ロードプライシング」は天下の愚策か

 

【サーチ&リサーチ】

* 2017年の記事に登場する「ロードプライシング」は、「環境ロードプライシング」と呼ばれるもの。神戸と大阪を結ぶ国道43号線の制限時速が40キロになっているのは、「国道43号線訴訟」が起こったほど、公害問題が著しかったからで、その他、横断する歩行者が多いことなどもあって、スピードが通例以上に制限されている。加えて、大型車を迂回させるために阪神高速湾岸線の通行料を値引きしていて、これが「環境ロードプライシング」と呼ばれるもの。

* 東京五輪・パラリンピック大会組織委と東京都が「首都高速道路の料金を時間帯によって変動させるロードプライシング(道路課金)制度の導入を、大会期間中の交通渋滞対策として検討していることを明らかにした」のは、2019年2月のこと。このときはまだ2020年開催が前提(2019年2月6日付)。

* 当初想定されていた値上げ幅は大きかった。「競技が行われる時間帯は、300~1,300円の通常料金(ETC利用の普通車)に500~3,000円を上乗せする案」(2019年2月7日付)。

* 東京五輪の交通対策の最難関は「首都高」。交通量を休日並みにする目標を立て、モデルはシンガポールだった。「ロードプライシングはシンガポールで1998年に導入され、都心部の交通量が15%減少したとの実績がある」(2019年2月7日付)。

* 今回実施された変動料金案が浮上したのは6月。「ロードプライシングは開会式2日前の20年7月22日から閉会式のある8月9日までを想定。昼間の値上げは、都心環状線とその内側を走るマイカー(全体通行量の48%にあたる49万台)を対象とし、物流トラックや福祉車両は除く。平日1日あたり2億1,000万円の増収を見込む一方、料金システムの改修や事故対策などに1億7,000万円を要し、夜間割引で4,000万円の減収を見込む」(2019年6月8日付)。

* その他、五輪期間中の交通規制については、「関係者用レーンの設置」(2010年1月10日公表)が提案された。さらに、議論されたとされているのは、「高速道路のETC専用化」(2020年7月)。

* そして2021年7月19日から「ロードプライシング」実施。影響は、「値上げされた首都高を避けた車が一般道に集中」、「首都高が値上げした結果、環七と国道20号、国道246号が一般道とは思えないレベルで渋滞」、といった形で出た。悪影響は、郵便や荷物の配達にも及んだ模様。

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