早くも失望。岸田首相、話は「聞く」が行動の伴う「効く」には至らぬ限界

 

そして、野党側から見れば、いくつかの失望も決定的になった。

核兵器禁止条約と森友学園の土地買収をめぐる財務省の文書をめぐり近畿財務局の職員が自殺した問題への言及である。

この2つへのスタンスはこれまでの自民党政権と変わりはない。

違うのは、核兵器禁止条約については、被爆地広島選出の国会議員として「核のない世界をつくるという目標」は共有していることを強調し、財務省職員の自殺問題では職員の妻からの手紙を受け止めた、という発言だろう。

聴くことは出来たのは前進かもしれないが、行動を伴う「効く」には至っていない。

ここが政権と当事者の乖離である。

「きく」という行為は、音は判別し、その真意を理解し、正しく解釈することまでを人々は期待しているから、やはり政治家の聞くは何とか真意を理解することまでは出来ていても、その発話者が望む解釈を正しく捉えて、具体的な行動に移せるかは難しい。

支援者の私もそのプロセスを誤謬なしに行うように慎重にもなる。

まして政治家は多くのコンセンサスや、プロセス上のいくつもの検問を通らなければ、具体的な行動にはつながらないから、難問だ。

1つ1つの問題は当事者にとっては死活問題ばかりだから、リーダーの「聞く」は絶対評価上の完璧が求められる。

それは少々気の毒な立場なのかもしれないと思いながらも、やはり完璧を期待してしまう。

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image by : 首相官邸

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