ボロ出る前に総選挙?国民は岸田・自民の「姑息」な手段にダマされるな

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近年まれに見る激戦となった自民党総裁選を制し、第100代内閣総理大臣となった岸田文雄氏。「新しい顔」で総選挙を戦うことになる自民党ですが、果たして岸田氏の総裁選出は「正答」だったのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、自民党には「上中下」の3つの選択肢があったとしそれぞれについて解説するとともに、安倍・甘利両氏頼りの岸田氏をトップに据えるチョイスが「下策」であったと一刀両断。それでも総選挙で自公が政権を維持するという週刊誌や業界紙の予測を紹介しつつ、与党に対して奮起を促しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年10月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

ボロが出ないうちにやってしまおうという岸田の姑息をどれだけの国民が見抜くのか?

菅義偉首相・二階俊博幹事長の体制のまま差し迫る総選挙を迎えたら壊滅的敗北は免れないという状況で、自民党にとっては3つの選択肢があった。

初めから失敗している岸田政権

上策は、大宏池会の復元による自民党本来のスイング効果の全面発露であったろう。2000年4月の森喜朗による密室談合による政権簒奪から始まって(途中に麻生政権と民主党政権の計4年間を挟むけれども)小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫、再び安倍と、清和会政権ばかりが続き、しかも第2次安倍政権の7年8カ月を通じては保守の則を超えてジリジリと右翼方向に座り位置をずらしてきた。この安倍的な右翼シフトの剣呑さと鬱陶しさを一気に払拭することがここでの自民党再生の鍵であるはずで、そのためには、岸田派46名と麻生派55名を以て宏池会を蘇らせ、それと竹下派53名の連携を実現して細田派95名を圧倒し、軽武装・経済重視の保守本流リベラル路線への回帰を演出すべきだった。

ところが岸田文雄には、老害=麻生太郎を引退に追い込んで宏池会を蘇生させるだけの組織力量はなく、そのため安倍に擦り寄り、そのお仲間の甘利明に頼って総理総裁の座に手を届かせるしかなかった。そうすると、安倍流の右翼路線に調子を合わせるしかなくなって、「防衛費のGDP比2%以上を念頭に増額」とか「相手領域内で弾道ミサイル等を阻止する能力の保有」(という、安倍の「敵基地攻撃能力」論を少しマイルドにした言い換え)とか、およそ宏池会的な価値観からかけ離れた公約を掲げて総選挙に臨む羽目になった。この矛盾が、遅かれ早かれ、岸田政権を失敗させることになろう。

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