池袋「パパ活」殺人は氷山の一角。実質“売春”に走る少女たちの心の内

 

今の若者の現状と代弁

私たちの元には本当にたくさんの若者から相談が寄せられます。

コロナ禍では、前年よりも2倍近い相談が届きましたが、やはり多くは家庭環境が問題で居場所がどこにもない子たちからの「死にたい」という悩みです。

虐待ももちろん一定数(だいたい全体の約3割ほど)ありますが、虐待までいかなくても、両親の不和や、親がまったく気にかけてくれないものや、兄弟の差別など様々です。

そんな中で、虐待ではないことから、周りの大人たちに「大したことじゃない」と決めつけられて理解してもらえず苦しんでいる子も多いのが現状で、実際に辛くてリストカット(自傷行為)をしている女子高生は、スクールカウンセラーから「甘えてるんじゃない?」と言われたり、「お父さんもお母さんも頑張ってるんだから」と言われた子もいます。

当然ながら、そんなことを言われた子は傷つき、誰も理解者がいない状況に、さらに辛くなり死にたくなるということも起きています。

たとえ虐待はなくとも、家に帰ったら両親が喧嘩していたり、母親がいつもため息ばかりついて食卓も会話がなく、何かあると怒られる…という毎日だったら、大人だってしんどくなります。

ましてや、高校生とはいえ、まだ思春期で親からの愛情が必要な年代です。

成人し、親から巣立つ前の大事な段階で、家に居場所がなく、親から毎日冷たく扱われる環境にいたら、誰でも自己重要感も低くなりますし、敏感な世代の10代からしたら、そんなに辛い環境はありません。

だけど、そこを本当に理解してくれる大人が意外に少ないのも事実で、学校の先生、スクールカウンセラー、心療内科の先生など、本来親身にその相談に乗るはずである大人から「甘えてるんじゃない?」というような、まるで「あなたが悪い」と言われているような言葉を投げかけられたら、心が折れて当然です。

ちなみに、虐待に遭っている子がスクールカウンセラーから「親も頑張ってるんだよ」と言われたというケースもありました。

そんなふうに、その子の気持ちや実情を知ろうとしたり、聞こうとせずに、一方的にジャッジをして、その子にアドバイスや意見をする大人がとっても多いのも現状で、そうしたことから余計に子どもたちが大人を信じられず「大人不信」「人間不信」になっている子も多数存在しています。

だけど、心の奥では「誰かを信じたい」「誰かに気にかけてもらいたい」「誰か信頼できる大人に出会いたい」と叫んでいます。

そこに大人たちがしっかりと気づいて、声をかけ、理解し、気持ちを受け止めるということが何よりも今の時代は必要だと感じます。

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