原油の値上がりは続き、家計にも大きな打撃を与えているなか、安倍元首相が提唱したアベノミクスは、今現在どういう影響を日本に与えているのでしょうか?その疑問に答えてくれるのは、メルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』著者で小沢一郎氏の秘書を長く務めた元衆議院議員の石川知裕さん。石川さんはアベノミクスの転換点は今であるとして、現状を語っています。
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アベノミクスの転換点/円安誘導とは異なる発想転換を提案する
ロシアのウクライナ侵攻が現実となった。 首都キエフにも戦火は及び、ロシア軍の侵攻は続いている。 今後、制圧地域を拡大しある程度のところで、東部の2つの地域の独立共和国の正式承認をウクライナに認めさせて撤退となるのではないだろうか。 この問題は独立を希望している地域住民のことも考慮しなければいけないので単純に正邪を決められない。 だが、現状を変えないというミンスク合意を破棄した形となったため、欧米は経済制裁を発表した。
今後、日本にとって心配なのは原油価格や小麦などの食糧価格の高騰である。 以前も書いたように、原油価格の高騰は全ての家計に影響する。 ガソリンが1リットル200円を超えてしまうのではという予想も出始めており、先物価格は急騰した。
アベノミクスは円安を誘導して輸出企業を潤わせ、株価を上げることによって、経済を上向かせるという政策だった。 株価が上がったことに伴って企業業績は順調になり、金融で稼いでいる人は潤った。
しかしながら、アベノミクスで給与は上がったかというと平均給与は下がり続けている。 格差の広がりを止めることはできていない。 そうなると、果たして円安政策が日本にとってプラスかどうか今一度考えなければいけない。
20世紀の終わりから、日本の製造業は生産拠点を海外に移転し、為替に左右されにくい産業構造づくりを進めてきた。 その結果、円安が進行しても輸出は増えにくくなっている。 円安の輸出波及効果は以前に比べ小さくなっているのだ。
一方、円安に伴うデメリットは顕在化しやすくなっている。 原油高になるとわが国の貿易収支は著しく悪化してきた。 悪化の主因は原油価格で、円安によって原油高を増幅させている。 また、輸入資材に頼る産業は円安によるコスト上昇が顕著になっている。
アベノミクスは、
円安→輸出増→企業収益増→賃金増→経済活性化
という成長シナリオであったが、実現はしていない。 賃金は上がらず、円安により輸入コストが庶民に跳ね返っているのが現状だ。 最たるものは先ほども指摘したようにエネルギー価格だ。
日本経済を立て直すには、「賃金=コスト」と見るのではなく、「賃金=投資」と判断する経営手法を浸透させ、賃上げを進めることだろう。
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image by: 自民党(YouTube)