ロシアが始めた戦争により、世界的な食糧不足やインフレなど、負の影響に苦しむ人々が多くいる一方で、戦争という特殊な状況で美味しい汁を吸っているのが米中の軍需産業のようです。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』で、国際政治経済学者の浜田和幸さんは、ロシアへの経済制裁が効果を発揮していない状況を伝えるとともに、米中両国の軍需産業の潤いぶりを紹介。ロシア製の武器を輸入していた国々が中国からの輸入に切り替えていて、今後の更なる急成長を予見しています。
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ウクライナ戦争で大儲けするアメリカと中国の軍需産業
ぶっちゃけ、「戦争ほど儲かるビジネスはない」という格言は今も生きています。ウクライナ戦争も、そのことを証明する好例と言えるでしょう。
ロシアは欧米諸国からの経済制裁を受けていますが、原油や天然ガスという虎の子のお宝があるため、経済制裁の影響はあまり出ていません。それどころか、ロシアの貿易黒字は2500億ドルに達し、昨年の1200億ドルの倍にまで膨れ上がっているのです。
アメリカは経済制裁を強化すれば、ロシアはエネルギーを輸出できなくなり、貿易赤字が膨らみ、「ウクライナ戦争を継続できなくなる」と踏んでいました。残念ながら、そうはなっていません。
実は、ロシアのエネルギーに依存しているヨーロッパ諸国だけではなく、中国やインドなどがロシア産の原油や天然ガスの輸入量を急増させているのです。
アメリカは産油国であり、対ロ制裁の影響はありませんが、ヨーロッパの多くの国はそうはいきません。結局、密かにロシアからの輸入を継続しています。アメリカですら、インドがロシアから輸入し、精製した石油をインド産として買っている有様です。
一方、アメリカの軍需産業はウクライナへの武器輸出で空前の利益を稼ぎ出しています。戦争が始まって以来3か月ほどで、ロッキードマーティンの株価は12%も上昇し、ノースロップグラマンに至っては20%の急騰ぶりです。この間、S&P500の株価は平均して4%値下がりしているので、ウクライナ戦争によって儲かっている軍需産業とは対照的と言えます。
例えば、ロシア軍の戦車に壊滅的な損害を与えていると言われる「ジャベリン」ミサイルですが、アメリカは保有量の3分の1を既にウクライナに提供しました。そのため、国防総省ではレイシオン・ロッキードマーティンへ緊急発注を繰り返しています。
元のストックを確保するには、今後4年間はフル生産体制を組まねばならないとのこと。アメリカの軍需産業にとっては、「この世の春」といっても過言ではありません。
実は、戦争特需でウハウハ気味なのは中国も同じです。現在、中国の軍需産業の世界シェアは5%弱ですが、売上額上位20社の内、7社は中国の会社となっています。特に艦船の製造、輸出に関しては、既に世界1の座に迫るほどの急成長ぶり。
近年、武器の輸入を急拡大しているパキスタン、バングラデシュ、ミャンマーなどは、それまで輸入していたロシア製に代わり、中国製の武器を輸入するケースが増えています。
ぶっちゃけ、世界第2の武器輸出大国だったロシアですが、現状では足踏み状態のため、中国がその穴埋めで美味しい汁を吸っているわけです。
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image by:Peter Sherman Crosby/Shutterstock.com