日本人の若者、全死亡のうち半数以上が「自殺」という現実

 

センターはこのプログラムの重点課題として以下5領域を挙げている。

「子ども・若者に対する自殺対策」「自殺ハイリスク群の実態分析とアプローチ」「自殺報道・インターネット情報の影響と対策のあり方」「自殺対策のデジタルトランスフォーメーション(DX)化の可能性」「ポストコロナに向けた自殺対策等」。

特に「子ども・若者」の自殺は深刻で、若者とされる15~29歳の全死亡のうち「自殺」は50%以上を占める。

さらに児童生徒は2017年、学生等は2020年から自殺者数が増加に転じている。

同センターでは「子ども・若者では原因・動機が不明とされる場合が多く、その実態解明を含めて子ども・若者に対する自殺対策は喫緊の課題」との認識だ。

さらに世の中の潮流としてDX化を自殺対策にどう組み込んでいくか、そしてポストコロナの中で自殺観の変化にも対応する必要があるだろう。

拙著『ケアメディア論』(ラグーナ出版)でも、社会で「ケア」を意識する際にその社会での自殺者の存在が大きなバロメーターになると説いた。

デュルケムは『自殺論』で「生に対するペシミズムを助長するような思想や教説が広まり、人々の心をとらえている」のが自殺増加の推論として示しているが、上記の「自殺報道・インターネット情報の影響と対策のあり方」がこの推論へ対応するものであり、私も「ケアメディア」との概念を示す中で自殺を防ぐ社会に必要なメディアの在り方を今も模索し続けている。

コロナやDX等の新しい様式をにらみながら、ネガティブな気持ちを助長する情報を私たちはどのように扱っていくのがよいのか、結局のところ、私たちの倫理観と「ケア」の感覚を養うことが重要であるとの認識から出発したい。

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image by: 一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター

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