韓国に居場所なし。“陰口外交”バレてインド太平洋地域で孤立する隣国

 

このようなシナリオが実現したとしたら、各勢力によるデリケートな力の均衡・バランスという状況がインド太平洋地域に生まれ、それを崩すことは世界・地域の崩壊を意味するというほどの安全保障環境を形成することが可能になり、究極的に戦争の抑止につながるのではないかと期待できます。

このような環境がこれから10年から15年の間に構築されるとした場合、日本を含む“地域”の国々はどう動くべきでしょうか?

日本にとっての選択肢は、従来通り「日米安保条約が柱」とするアメリカとの同盟関係の維持・強化は大事ですが、新しい環境下で埋没してしまわないためには、隣国である中国との関係をいかに良好に保っておくかはとても重要になります。まったく阿る必要はないですが、わざわざ対立する必要もなく、いかに戦略的に関係の維持を“つかず離れず”マインドで図ることが出来るかだと思います。

インドについては、共にクワッドに参加し、中国包囲網の原加盟国ではありますし、これまでにも大きな立場の食い違いがないため、良好な関係の維持は難しくないと信じますが、今後、インドの影響力が増すにつれ、その日印間のバランスがいかに変わってくるか、特にインド側・日本側双方のマインドのバランスがどう変わるかによっては、安全保障環境に与える影響は小さくはないので、今から関係のかたちを両国間で作っておく必要があるでしょう。

インドネシアも、高速鉄道の入札問題はありましたが、日本との関係は非常にいいため、さほど大きな心配はしていませんが、気を付けたいのは、ジョコ政権下で顕著に進む経済・外交・軍事面でのインドへの接近方針の影響です。

インドとも、インドネシアとも良好な関係を築いていますので、日本にとってはさほど大きな問題ではないでしょうが、インドとインドネシアの接近が、中国にとってどのように受け取られ、それが中国のインド太平洋地域における“行動”にどのような影響を与えるのかは要注意です。

韓国については、かつての日本とよく似て八方美人的な外交姿勢が指摘されていますが、ケースごとに、そして政権ごとにアメリカ寄りになったり、中国寄りになったりと、立ち位置がはっきりしないばかりか、影で悪口を叩くという特徴が米中にも、インドにもばれており、かなり厳しい見立てですが、インド太平洋地域におけるパワーバランスという観点では、実質的に居場所がないと言えます。

こうしてみてみると、ウクライナをめぐる情勢と、インド太平洋地域における情勢は、時間軸も違いますが、取り巻く環境も違い、ウクライナにおける戦争を機に鮮明化した世界の分断という対立構造がそのまま投射されるというよりは、力のある国々が割拠して、微妙なバランスの下、安定が齎されるという特徴が予見できると考えます。

ウクライナにおける戦争は世界に、そしてアジアにも大きな衝撃を与えていますが、実際にインド太平洋地域における安全保障環境を根本的に変えてしまうほどの突発的な影響力はなく、米中の微妙な対立が継続する間に、インドとインドネシアがパワーハウス化し、デリケートなバランス下での安全保障という構造へのプロローグ的な役割を果たすのではないかと考えています。

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