韓国に居場所なし。“陰口外交”バレてインド太平洋地域で孤立する隣国

 

このような構図が出来上がってくると確実に起きてしまうのが、戦争・戦闘の長期化です。今、戦争の長期化を受けて、ウクライナの人民と世界中の一般消費者を除いて、明らかな不利益を(一方的な不利益を)被っているものはいないのではないかという状況で、軍需産業に至っては超好景気の真っただ中です。

これ、あと2か月ほどで中間選挙を迎える米国にとっては、貴重な支持基盤をハッピーにさせておく材料にされています。ウクライナ国民の犠牲の上に、アメリカのハイマースなどの武器は好調な売り上げを記録し、おまけにアメリカ産の武器がロシアを攻撃しているという、なんとも言えない状況に満足するという異常な事態も生じているようです。

9月や11月などにXデーを予言したい“専門家”もまだいらっしゃるようですが、この戦争はいろいろな利害が絡み合い、まだまだ継続すると思われます。

今回のこのウクライナでの戦争は、私たちが住むアジア太平洋・インド太平洋地域での安全保障環境の“これから”にもいくらかの示唆を与えるものだと考えます。

もちろんここで大きな影響を持つのが中国のこれからです。10月16日に行われる中国共産党大会と習近平国家主席の第3期目の確定を受けて、中国がついに台湾に対して“行動”を起こすという見方をし、私もそういってきましたが、ロシアのスランプと戦争の長期化の様相を見て、台湾への軍事侵攻に対する損得勘定は、中国共産党内で最終的な判断局面にきているように思われ、いろいろと伝え聞く内容を踏まえると、しばらくは中国なりの現状維持を選択し、台湾に大きな圧力を軍事・経済的にかけつつも、戦争につながるような決定的なインシデントは引き起こさないと見ています。

もちろん、ここには大きなIFが存在します。習近平国家主席がどの程度、中国人民解放軍を掌握できているか次第で、このシナリオが崩れ、軍が軍事侵攻になだれ込み、こちらも非常に長期に及ぶ戦争という袋小路に陥ることもあり得ます。

ただその可能性は低いかなと私は見ています。その一因が、成長著しいインドとインドネシアの存在です。

インドは恐らく来年には、国連の統計予測によると、中国の人口を超え、そして身分制度(カースト制度)がまだ存在するとはいえ、高学歴で若年の人材層が増加していることもあり、今後の経済的・軍事的なパワーハウスになるための能力基盤はそろってきています。

そこに今回のウクライナでの戦争とロシアの資源絡みで分厚い経済基盤も手に入れていることから、これから10年ほどで米・中国と肩を並べる状態を作り上げてくるだろうと思われます。

インドネシアについては、中国・インドとデリケートなバランスをキープしつつ、着実に経済発展を進め、かつ外交面でも地域の2大勢力の間で決して無視できない実力を蓄えてきています。

中印やアメリカと違い、核戦力こそ保持していませんが、ASEAN内ではすでに確固たるリーダーとしての地位を確立し、東南アジアをまとめる存在になってきていることから、これから10年から15年の間にアジアの安全保障環境の安定にとって欠かすことのできない存在になるでしょう。

特にアジアにおける“イスラム”の核になることで、西アジア(つまり中東)のイスラム諸国との連携を図ることもでき、インド太平洋地域における政治・地政学においてイスラムの力を結集する存在になります。

このような状況を作り出すのが、現在、ウクライナでの戦争によって国際経済で起こっている様々な停滞による“時間”ではないかと考えます。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

初月無料で読む

 

print
いま読まれてます

  • 韓国に居場所なし。“陰口外交”バレてインド太平洋地域で孤立する隣国
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け