韓国に居場所なし。“陰口外交”バレてインド太平洋地域で孤立する隣国

 

今週、日本経済新聞の記事にもなっていましたが、厳しい制裁を課したはずのロシアからの石油の輸出は、ギリシャとインド、そしてトルコ、中国の手助けを得て、それなりのレベルが確保され、ギリシャ籍・インド籍の大型タンカーによるロシア産原油の輸送とギリシャ沖を舞台にした“せどり行為”によって欧州に還流するという仕組みが出来上がっています。

一応、EU内での合意では、石油の禁輸措置が今年中には発効するはずですが、その実現性と実効性には大きな不安が残るばかりか、欧州がロシアを切り捨てられない最大の理由になっている天然ガス供給網の存在とロシアの影響力を受けて、制裁に反して、ロシアの外貨収入確保のルートは開かれたままになると思われます。

欧州は、アメリカと組んでロシアを国際経済から締め出すべく強い制裁措置に参加しつつも、自国・地域の“生存の確保”を最優先する国内・域内圧力に大きく影響されて、結局、制裁は骨抜きにされつつあります。

以前にも「対ロ制裁は当初予想されたほど効いてはいない」とお話ししましたが、その原因を作っているのが、最近、触れている中立的な第三極(イシューごとに味方に付くサイドを決める諸国群で、トルコ・インド・ブラジル・中東諸国などに代表される)はもちろんのことながら、EU内での加盟国間の結束の綻びでしょう。今回のギリシャによる明らかなせどり行為の黙認・協力や、煮え切らないドイツ、そしてロシア産原油を迂回ルートで購入する英国やベルギー、オランダの企業群などの行為です。

ロシア軍は、確かにアメリカ製のハイマースなどが戦線に投入されたことで、ウクライナ軍からの反攻に晒され、最近は軍事的な劣勢がよく報じられていますが、戦争の長期化の特徴でもある後退期と立て直し期に差し掛かっているという分析も存在し、“ファン”が熱狂するほどウクライナ軍が巻き返しているとも言えないというのが実情に思えます。

その背景には、すでにお話ししたような“戦費もまだ賄えそうな安定的収入”の存在が見え隠れします。

トルコは、ウクライナに自国のドローン兵器を提供すると同時に、ロシアとしっかりと貿易関係の強化を進めていますし、インドは行き場を失ったロシア産の原油を一手に引き受け、国内で精製し、欧米企業などに売りさばくことで自国のプレゼンスが上がると同時に、しっかりロシアの経済を下支えする一助にもなっています。

中国はもっと直接的にロシア産の原油・天然ガスの引き受けを行い、ロシア(ウクライナ)産の穀物や木材、金属製品・資材などを引き受け、余剰分を転売することで経済的な影響力を高めています。

ではこれを欧米諸国は見て見ぬふりしているかと言えばそうではないのはご存じのとおりです。

ロシアに手を貸すものを罰することなく、何とか手懐けようとしてみるものの、それゆえに態度が曖昧になり、さらなるギャップを生み出してしまうという悪循環を演じながら、自らもしっかりと利益を拡大する構造を確立しつつあります。

報道でウクライナ軍の反攻の原因として挙げられるハイマースやドローン兵器などによる“効果”は若干眉唾と思われ、戦争報道が幾分、軍需企業の宣伝に繋がっているという側面もあります。

ハイマースに対する各国軍からの引き合いは凄まじいですし、比較的安価でメンテナンスも簡単、そして性能も高いという触れ込みのトルコ産ドローン兵器も引く手あまたです。

そしてNATO加盟交渉が大詰めを迎えているスウェーデンも、大軍需大国でもあり、しっかりとSAAB産の兵器の販売を伸ばすことにもつながっています。一説ではNATO加盟は、この軍需産業からの強力なプッシュがあってのことという噂もあります。

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