また、高等教育の質も一因となっている。シンガポールの南洋理工大学(NTU)の教育学教授、ジェイソン・タン氏は、アジアや世界のトップクラスに位置するシンガポールの大学は、中国からの裕福な家庭にとって魅力的だと述べている。
ニューオリエンタルの2022年版レポートによると、海外留学を目指す回答者のうち、シンガポールへの留学を選んだ人は14%で、2015年から倍以上となった。
“米国の同レベルの教育費と比較した相対的な手頃さ、治安の良さ、文化的親和性、これらすべての要素が、従来の欧米の留学先に対する競争優位性をもたらした”と述べている。
例えば、シンガポール国立大学の学部生の年間授業料は17,600~20,600シンガポールドル(176~206万円)だが、アメリカやイギリスの一流大学では留学生に年間40,000~50,000米ドル(580~725万円)を請求することもある。
解説
裕福な中国人にとって欧米の大学へ子供を留学させる事は伝統的な夢でしたが、最近はその足掛かりとして、まず東南アジアのインターナショナルスクールに入学させるとの記事です。
呼応して例えばシンガポールでは幼稚園から12年生までのインターナショナルスクールが増えています。多くは欧米の名門校と連携しているそうです。
まさに中国人にとっては渡りに船ですが、日本人でもこのような選択肢をする人が増えてくるかもしれません。
実際、私の友人も奥さんと二人の子供がシンガポールに住んでいます。子供は二人とも小学生でインターナショナルスクールに通っていますが、その授業は日本とはまるで違うそうです。
小学3年生でも欧米ビジネススクールのケーススタディーの簡易版のような宿題がだされるそうです。その回答をインターネットで提出して、他の同級生の回答も見られるそうです。
で、自分が支持する同級生の回答を選んで、上位2~3の素晴らしい回答のどれが本当によいかのディスカッションがあったりするそうです。繰り返しますが、小学3年生の話です。
確かに国際社会で活躍できる子供が育ちそうです。それで欧米の一流大学に進学して人脈をつくれれば鬼に金棒でしょう。
今回ご紹介したのは、アジアのインターナショナルスクールから欧米の一流大学へという流れですが、インターネットを使って欧米大学の講義が無料で見られるプログラムもできています。
それに半年間ほど実際の登校をして学費を払えば、正式な学位がもらえるような学校もあります。
国際化とIT化のすすむ教育環境で、どういった人材が育つのか、育てるべきなのか、注目していきたい分野です。 (この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』10月9日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
社会の分断化を推し進める「バランスを欠いた報道」を見極めるために
メルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』 では、在米14年の経験と起業家としての視線、そして大学教授という立場から、世界で起きているさまざまなニュースを多角的な視点で分析。そして各種マスコミによる「印象操作」に惑わされないためのポイントを解説しています。10月中であれば、10月配信分のメルマガ全てが「初月無料」でお読みいただけます。この機会にぜひご登録ください。
月額:¥330(税込)/月
発行日:毎週 日曜日(年末年始を除く)
形式:PC・携帯向け/テキスト・HTML形式
この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ
image by: Dr David Sing / Shutterstock.com