世界中のありとあらゆる場所で活動していると言っても過言ではない、各国諜報機関の命を帯びた人物たち。それはもちろんウクライナ戦争の当事国とて例外ではありません。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では著者で国際政治経済学者の浜田和幸さんが、ウクライナ戦争の舞台裏で繰り広げられている、映画さながらのスパイ合戦の実態を紹介。英米に関して言えば、プーチン氏の側近を買収していることは間違いないとの見立てを記しています。
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ウクライナ戦争の裏舞台ではスパイ合戦が花盛り!
ぶっちゃけ、戦争の行方を左右するのは軍事力だけではありません。
洋の東西を問わず、諜報活動、すなわち、スパイの出番が多いのです。
日本でも昨年末、安全保障に関する機密情報の漏えい疑惑が発覚し、海上自衛隊の幹部が懲戒処分になりました。
将官級幹部だった海自OBが現役の1等海佐に働きかけた模様です。
自衛隊の捜査機関である警務隊が捜査中ですが、外国のスパイ組織がかかわっていた疑いが濃厚とされています。
いわゆる「スパイ防止法」のない日本は、海外のスパイにとっては「天国」と見なされてきました。
一方、ウクライナ戦争が長期化する中で、ロシアとアメリカ、イギリスの諜報機関によるせめぎ合いが激化しています。
CIAやMI6はロシア側の弱点を見出し、ウクライナによる対ロシア防衛戦を有利に展開させようとしているわけです。
また、この機会を利用して、イギリスのMI5はヨーロッパ各国でスパイ活動を行ってきたロシア人の一網打尽を目指しています。
MI-5のマックカラム長官によれば、600人のロシア人を追放したようですが、その内400人は外交官やジャーナリストを装うスパイだったとのこと。
こうしたスパイを送り込んでいるのはロシアに限りません。
イランや中国からも多数の諜報員が外交官や商務専門家として送り込まれているからです。
ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアによる軍事侵攻が始まる以前から、自国内のロシア人スパイの存在を気にかけていたようです。
そのため、特にイギリスのMI5との連携を加速させていました。
というのも、アメリカ、イギリスはロシア国内にスパイ網を築いているからです。
プーチン大統領の側近と目されるロシア人を買収し、内部情報を集めていることは間違いありません。
昨年、CIA創設75周年の記念講演会がアメリカのジョージ・メイソン大学で開かれ、その時、CIAのマーロー副長官が実に興味深い発言をしています。
曰く「我々は世界中でプーチンに懐疑的、もしくは批判的なロシア人を探している。特に、ウクライナ戦争に辟易しているロシア人に仕事を提供してきた」。
具体的には、各国に存在するロシア大使館や通商代表部の周辺に出入りするロシア人を観察し、「使いものになりそうな人間をリクルートしている」とまで踏み込んだ発言をしていました。
ぶっちゃけ、スパイ映画のような現実が目の前で起きているといえそうです。
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