Netflix『舞妓さんちのまかないさん』で再燃か。特例では済まされぬ舞妓さんの過酷な労働実態

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森七菜、出口夏希のW主演でNetflixシリーズとして配信が始まった『舞妓さんちのまかないさん』。小山愛子原作でアニメ化もされた人気作品のドラマは、日本だけでなくアジアを始め世界で注目されているようです。そんな舞妓さんが働く姿に疑問が生じたと語るのは、メルマガ『週刊 Life is beautiful』著者で「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんです。昨年大きな問題となった舞妓経験者の暴露ツイートに関する厚労大臣の発言の無責任さを問題視。「伝統文化」だからこそ法律で手厚く保護する必要があると訴えています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

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Netflix「舞妓さんちのまかないさん」を観て調べた労働基準法や風営法の問題

Netflixで「舞妓さんちのまかないさん」を見始めました。京都の花街を舞台にした、食を中心にしたドラマで、ドラマとしてはとても面白いのですが、中学校を卒業したばかりの16歳の女の子が、「見習い」として夜の宴会の席に出る場面があり、それが労働基準法や風営法に違反するのではないかが気になって仕方がないので、色々と調べてみました。

労働基準法第61条には、

使用者は、満18歳に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならない。

とあり、ここだけ見ると、どう考えても違法です。

しかし、日本はいまだに小中学校のみ義務教育であるため、中学を卒業して直ぐに働く子供たちがおり、それを可能にする法律として、民法第6条に

子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。

と親の許可があれば、「労働者」として働けることになっています。さらに、民法第6条には、

一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。

とあり、これが未成年でも午後10時以降でも働ける理由になっているそうです。

一方、風営法の第22条には、

第二十二条 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
三 営業所で、十八歳未満の者に客の接待をさせること。

と明記されており、これだけで舞妓は違法に思えますが、京都市の解釈としては、「舞妓は法的には労基に規定される労働者ではなく見習いです。京都市の条例で舞妓は『伝統芸能の継承者』として酒席へ出ることを特例で認められている」そうです。

ちなみに、去年、京都の舞妓だった女性が、Twitterで客と未成年飲酒や混浴を強いられたなどとする告白をしたことが物議を醸していました。
https://twitter.com/kiyoha_xxx/status/1540988041921449985

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