で、寛容は、地方創生政策が見落としていた重要なパーツである、と結論づけています。
1)寛容は地方創生のファクターXである
地域の寛容性は、地元に住む人の離脱意向を抑え、東京圏へ出た若者のUターン意向を高める統計的に有意な効果を持つ。特に他県からの移住者の定着には地域の寛容性が大きく影響する。(中略)寛容は、地方創生政策が見落としていた重要なパーツである。
2)地域社会の凝集性は地域の寛容性を低下させ、文化芸術は寛容性を向上させる
強くて狭い人間関係や、規律や道徳、名誉や面子を過大に重んじる気質は地域社会の寛容性を下げ、人口の社会減を加速させる。逆に文化水準の満足度は寛容性の高さと非常に密接に関係しており、文化芸術の経験が地域社会の寛容性を高める効果を持つ。
(同上)
つまり、不寛容な場所からは人が逃げる。「逃げるのか」とか言ったら余計逃げる。
これを読んで思ったのが世界の「駐在員に住みやすい街」のランキングに似てるな、ということです。
クアラルンプールは住みやすい街の1位なのですが、なぜかというと、やはり寛容で、人間関係が作りやすいから、らしい。おそらく、これも「寛容だから」なのです。
以前、とある地方に取材で行ったとき、役場の移住担当の方が「東京の人がきて、5年とか住んでもらうのでは困るんです。永住してもらわないと」と言ってて、最近、街を出ようとしている東京からの「新参者」への悪口になりました。
お金をかけてるんだから、永住して!という気持ちはよくわかります。しかし……入ったはいいけどルールを押し付けられ、さらに出られないとなると、しんどい。
● 【移住失敗】色々ありすぎて引っ越すことになりました#31(YouTube)
一方で、私が住んでたのは東京・下町ですが、比較的寛容な場所です。
地方から人が流れてくる場所だし、江戸っ子特有と言われる「細かいことを気にしない(こまけぇことはいいんだよ)」「他人を詮索しない(野暮なこと言うな)」が残ってるからじゃないかなーと。
人の気持ちを変えるのは難しいけど、定住を増やしたいのなら、大事なことじゃないかなと思います。
※本記事は有料メルマガ『東南アジアここだけのお話【まぐまぐ版】』2023年1月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
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