まるで「談合」!?コロナ新薬を高額にする厚労省と製薬会社の深い闇とは

Kasumigaseki,,Tokyo,/,Japan,-,January,26,,2019:,Central,Government
 

昨年11月末に緊急承認され、3月15日から保険適用となったコロナ新薬「ゾコーバ」。厚労省は、この3月31日から一般流通(メーカー → 卸 → 医療機関・薬局)を開始し、それに伴い、国供給(メーカー → 国 → 医療機関・薬局)を前日の3月30日までの申請分をもって終了すると発表しました。注目すべきはその薬価で、5日で5万2,000円とかなりの高額となっています。当面の患者負担は無料とは言うものの、なぜこれほどまでに高価に設定されているのでしょうか。今回のメルマガ『長尾和宏の「痛くない死に方」』では現役医師の長尾先生が、読者からの質問に答える形で「薬価設定の闇」を暴露。さらに自身がこの先ゾコーバを使うか否かについても明かした上で、これまでの政府のコロナ対策を強く非難しています。

長尾和宏(ながお・かずひろ)プロフィール:町医者、「長尾クリニック」名誉院長。1958年香川県生まれ。高校時代に実の父親が自死をしたことをきっかけに医者を目指すことを決意し、苦学して東京医科大学に入学。学生時代に無医地区活動に邁進したことから、地域医療に目覚める。1984年、大阪大学第二内科入局。1995年、尼崎に「長尾クリニック」を開業。町医者という名前に誇りを持ち、外来と在宅医療に邁進。『平穏死10の条件』『痛くない死に方』等ベストセラー多数。

ボッタクリ!?コロナ新薬の薬価は誰が決めているのか

Q.コロナ新薬「ゾコーバ」5日分で5.2万円! なぜこんなに高いの??

長尾先生、先日の毎日新聞(3月8日付)の記事にびっくり仰天です。

中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は8日、新型コロナウイルス感染症の飲み薬「パキロビッド」(米ファイザー社製)と「ゾコーバ」(塩野義製薬製)の保険適用を了承した。薬価(薬の公定価格)は、患者1人、5日間の投与でパキロビッドが約9万9,000円、ゾコーバが約5万2,000円とする。ただ、負担が急増しないようゾコーバやパキロビッドなど新型コロナ薬の患者負担は9月末まで無料を継続する。

出典:『塩野義のコロナ薬「ゾコーバ」 5日分で5.2万円 9月末まで無料』(毎日新聞 2023/3/8)

「5類」になっても、9月末まで患者負担は無料?とはいっても、結局、税金で賄うということですよね?

どこまで国は、税金の無駄遣いをするつもりでしょうか?

結局、「5類」になっても、医者と薬屋が儲かる仕組みは変わらないようにも思えますが、お医者さんたちはどうして、税金の無駄遣いに無自覚なのですか?

そもそもこの異常な値付けは、何処からくるのでしょう?

先生は、ゾコーバを使うのですか?ご見解を教えてください。疑問だらけです。

薬価設定の裏事情。誰と誰が「談合」めいた値付けを行っている?

長尾和宏先生からの回答

A.薬価とは、病院で処方される薬の公定価格のことです。厚労省が薬価を決めて、「薬価基準」という価格表に載せます。薬価をすべて患者さんが払うわけではなく、たとえば3割負担の場合は、薬価の30%が、患者さんに請求される金額となります。

さて、この異常ともいえるほど高額な値付け。「新薬創出加算」という名のもと製薬会社と厚労省間で、まるで談合のような取引があったと国民から思われても仕方のない値段です。いや、ゾコーバに限らず、昨今、この手の新薬は目が飛び出るような値付けがなされます。

本庶佑先生のノーベル賞受賞(2018年 医学・生理学賞)もあって、新たながん治療薬として注目された免疫チェックポイント阻害薬の「オプジーボ」は当初(2019年頃)、年間で3,500万円かかっていましたし(現在はその5分の1程度まで引き下げられました)、このメルマガでも先に取り上げたましたが、今年1月にアメリカのFDA(米国食品医薬品局)が迅速承認(正式承認は7月予定)したアルツハイマー治療薬の「レカネマブ」は、年間2万6,500ドル。日本円に換算すると、年間約360万円です。

このように、薬価に車や家が買えるような値付けが行われている中でのゾコーバなので、僕はさしてこの金額に驚きません。昨年夏に薬価収載された「ラゲブリオ」もたしか5日間の経口投与で約10万円(1日薬価は1万8,862円)でしたよね。

だから、ゾコーバは安いほうかもしれませんよ(笑)。

長尾和宏医師がこの先もゾコーバを使わない2つの理由

薬価は、厚労省内の審議で決まりますが、算出根拠は「神事」と言われています。市民には明かしませんよ、ということです。明かせない理由は……いわゆる相場観と談合的に決まるのではないでしょうか。一般人は決定プロセスを知ることができません。

また、ラゲブリオやゾコーバは、当院のような一般の医療機関には「配布」されないのが常です。だから僕は、ラゲブリオもゾコーバも、投与例はゼロなのです。

医師会などのエライ先生方だけに配布され、たいした説明もなしで「いい薬が出たのであげるよ」とバンバン処方している先生も少なくないようです(患者さんからの証言)。

配布されなくって、悔しいかって?いいえ、まったく。

近い将来、使えるようになっても使いませんよ。理由は単純。こんなに高いお薬を使う意味が見い出せないのと、副作用が怖いからです。

今年9月まで無料としたのは、医療機関と製薬会社への配慮です。国民のためではない。

製薬会社からの政治献金もありますからね。医療界は、大きな票田です。

ワクチンも治療薬も無料ならば、市民は軽微な発熱でも気軽に受診されますよね。

でも、タダほど怖いものはない、という昔からの言い伝えがあります。

ワクチン、PCR検査……この3年間のコロナビジネスは、まさにそうでした。ゾコーバも同じと思います。

すでに健康被害の報告を聞いています。善良な医師は、薬が手元にあっても実際にはほとんど「配布」していないでしょう。常識的な考えを持つ医師も、当たり前ですが、います。発売前も発売後も知見が希薄です。だから現在、臨床現場ではほとんど使われていません。

大量に余っています。これって何か似ている?そう。アベノマスクと同じです。

この記事の著者・長尾和宏さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • まるで「談合」!?コロナ新薬を高額にする厚労省と製薬会社の深い闇とは
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け