ChatGPTに奪われやすい仕事を考えて見えてきた「知識労働者」の定義

 

■知識労働者とは

かつて梅棹忠夫は「知的生産というのは、頭をはたらかせて、なにかあたらしいことがら──情報──を、ひとにわかるかたちで提出することなのだ」と説きました。情報を扱うことではなく、頭をはたらかせ、あたらしいことがらを、他の人にわかる形でまとめあげるのが知的生産なのです。

昨今のGenerative AIは「ひとにわかるかたちで提出すること」に関して爆発的な能力向上を見せてくれました。単純に喜ばしいことです。とは言え、そのことは前二者も満たしている証左にはなりません。むしろこの点はまだまだできていないと言えるでしょう(これについては別の回で検討しましょう)。

知識労働とは、まさしく「頭をはたらかせ、あたらしいことがらを、他の人にわかる形でまとめあげる」ような仕事です。知識があることが前提ですが、それだけで成立するわけではありません。その知識が使えることが必要ですし、もっと言えば、そうした知識を用いて新しい知識を生成することが肝要なのです。

知識労働者にとって、知識は自分が使うリソースでありながら自分が従事する存在でもあります。知識を仕事にする、知識で仕事をする、知識に仕事をする。これらの複合が「知識労働」であると考えれば、現状のGenerative AIが知識労働を奪ってしまう心配はありません。むしろそうした「知識労働」を進めていくための強力なサポートになってくれるでしょう。

その意味で、今後は次のような状況がはっきりと露呈してくるでしょう。つまり、日本企業は「知識労働」をどれだけしていたのか、と。その事実がいやおうなしに突きつけられるようになると思います。
(メルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』2023年3月27日号より一部抜粋)

この記事の著者・倉下忠憲さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: Shutterstock.com

倉下忠憲この著者の記事一覧

1980年生まれ。関西在住。ブロガー&文筆業。コンビニアドバイザー。2010年8月『Evernote「超」仕事術』執筆。2011年2月『Evernote「超」知的生産術』執筆。2011年5月『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』執筆。2011年9月『クラウド時代のハイブリッド手帳術』執筆。2012年3月『シゴタノ!手帳術』執筆。2012年6月『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』執筆。2013年3月『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』執筆。2013年12月『KDPではじめる セルフパブリッシング』執筆。2014年4月『BizArts』執筆。2014年5月『アリスの物語』執筆。2016年2月『ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由』執筆。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~ 』

【著者】 倉下忠憲 【月額】 ¥733/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 月曜日 発行予定

print
いま読まれてます

  • ChatGPTに奪われやすい仕事を考えて見えてきた「知識労働者」の定義
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け