広島サミットで明らかに。中国が“ほくそ笑む”G7の乱れた足並み

 

また中ロとの関係を崩したくないという動機も働いたはずで、余計な紛争に巻き込まれたくないという動機もあったはずだ。よほど大きな経済的メリットか政権維持の動機と絡まなければグローバル・サウスの国々の取り込みなど簡単ではないのだ。しかも、その経済的なメリットも中国に一日の長がある。

70年代初めの国連資源特別総会でトウ的な海と陸の道で世界を結ぶ「一帯一路」は、中欧貿易に目が奪われがちだが、実際のところ対途上国では主に交通インフラの建設やエネルギー産業に投資し経済発展の基盤を作る「中国版発展モデルの輸出」でもある。

G7と同時期に中国で行われていた第1回中国・中央アジアサミット(以下、中央アジアサミット=陝西省西安市)の報道の中で、中国と中央アジアの貿易が対前年比で22%増加したことが強調されていたが、これは中国とヨーロッパを結ぶ鉄道の約80%が中央アジアを通過することと無縁ではない。

こうした人々が実感している発展の手応えを、先進国がにわか援助で覆そうとしても簡単ではないのだ。現状、先進国が中国の対グローバル・サウスの影響力を削ぐ方法は、その問題点を指摘するしかなく、キーワードは「債務の罠」だ──
(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2023年5月28日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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