ひとつの定説にこだわらない「水平思考」で見えてくる日本人の起源

Young woman having questions.
 

つまり、いまの人間の体になります。

そして海で暮らすなら、体毛は、それが寒い地域なら、しろくまやアザラシのように、体中がびっしりと細かい毛で覆われている必要がありますが、熱帯や亜熱帯地方なら、むしろ毛がない方が、体が速く乾いて風邪を引きにくい。つまりその分、生存確率が高くなります。

また踏ん張るには、尻尾は要りません。そもそも尻尾は、動物が四足歩行する際に、頭骨が重いために、弥次郎兵衛のように前後のバランスを取るために尻尾があります。つまり体の前に重たい頭蓋骨があれば、後ろに長い尻尾がないと、バランスがとれないのです。

もちろん、カンガルーのような動物もいます。二足歩行ですが、カンガルーには太くて立派な尻尾があります。そして実際には、立位には尻尾を含めた三足を用い、ケンカをするときには、尻尾を起点にして両足で相手を蹴飛ばしたりします。

しかしカンガルーの体をよく見ると、足の付根が支点となり、胴体から頭部までの重量と、足の付根から尻尾の先までの重量が、ほぼ均等になっています。ちゃんと前後のバランスが取られているのです。さらにいうと、人間の場合、カンガルーと異なり、魚を引っ張り上げるという動作の必要から、この場合、カンガルーのような尻尾は邪魔になります。

要するに、環境適合の結果、人類は人類の体を手に入れたと考えられるわけです。

そして島で魚を獲って暮らすサルたちは、何万年もかけていつしか体を変化させ、4万年前ころには、船を使って外洋航海する技術を身に着けます。これは証拠があって、いまから沼津と長野で、いまから3万8,000年前の伊豆諸島の神津島にしかない黒曜石が発掘されているのです。神津島には、船以外で往来することはできません。つまり、我々の祖先は、いまから3万8,000年前には、すでに船を持ち、外洋航海する技術さえも身に着けていたことになるのです。

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