ところが、日本列島では、たとえば出雲で12万年前の石器が発見されているわけです。そしてこの事実は、ミトコンドリア・イブ説や、日本列島への渡来説をいきなり否定する証拠になります。つまり従来説では、もはや日本人の起源を説明できなくなるのです。
そこで水平思考の登場になります。
そもそもなぜ人類は二足歩行の裸のサルなのかという疑問があります。草原で走って生活するなら、四足の方が速く駆けることができるのです。しかも安定する。
木の上で生活するなら、両腕の筋肉と両足の筋肉が同じくらい発達している必要があります。けれど人類は、どう考えても腕の筋肉よりも足の筋肉のほうが太く発達しています。
さらに、森や草原で生活するなら、全身が毛で覆われていたほうが、怪我が少なくて済みます。つまり生存に適しています。けれど人類には毛がない。これまた不思議な点です。
さらに不思議なのは、温泉に浸かったニホンザルの顔です。いますよね~。あんな顔をした日本人(笑)。
おもしろいことはもっとあります。万年の単位で歴史を考えるときには、地形が今と異なるという点です。
海面は、いまより20メートルくらい高い時代もあったし、140メートルも低かった時代もあります。そしてそうなると、これまで陸続きだったところが、突然、海に隔てられてしまうということも起きるわけです。
仮に(ここで「仮に」です)、普通に森で生活していたサルたちがいたとして、そのサルたちの集団が、海面の高さの変動によって島に取り残されたとします。
島は、ある程度の規模の島である必要があります。なぜならそうでなければ、真水が採れないからです。
ところが島の大きさは、森で獣を獲って暮らせるほどの森がない。
そうなると、もっぱら苦労して海で魚を獲って暮らすしかなくなります。そして魚を海から引き上げるには、四足歩行や、両手両足の筋肉が同程度といった体の作りより、二本の足で踏ん張っり、腰のバネを使って、両手で引っ張るといった動作が不可欠になります。
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