研究で明らか。禁煙して太っても「病気のリスク」は喫煙者の半分

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タバコによってさまざまな病気のリスクが高くなるのは、多くの研究によって明らかにされていますが、禁煙して太ってしまうと、心筋梗塞や脳卒中などの「心血管イベント」と言われる病気のリスクが高くなってしまうと心配する人がいるようです。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、著者の江部康二医師が、まずは「タバコの害」を解説した文献を紹介。さらには禁煙によって太ったとしても、喫煙を続けるよりは遥かに病気のリスクが低くなる研究データも紹介しています。

禁煙して体重が増加しても、心血管イベントリスクは約半分に減少

今回はタバコのお話です。私はお酒には比較的優しいですが、タバコにはとても厳しいです。私は酒は飲むけれどタバコは吸わないので、一定のバイアスがかかっているのは否めないですが、タバコの害には、エビデンスがあります。

まずは、タバコの害です。以下は、国立循環器病研究センターサイトから一部抜粋です。

喫煙はどんな害があるの?

 

たばこの煙には4000種類以上の化学物質が含まれていることが判明しています。そのうち有害と分かっているものだけで200種類以上もあります。またこれらの中には40~60種類の発ガン物質が含まれています。

 

たばこを吸うと一酸化炭素も体内に取り込まれます。一酸化炭素は酸素に比べ240倍も赤血球にあるヘモグロビンと結合しやすく、体内組織の酸素欠乏により動脈硬化が進み、脳卒中・急性心筋梗塞(こうそく)・大動脈解離などの循環器疾患を発症する危険度が高くなります。

 

のように、1日25本~49本吸っている人は、心筋梗塞で死亡する危険度が吸ってない人に比べ2.1倍になります。本数が増えるほど死亡の危険度が上がるのです。脳卒中発症と喫煙との関係をまとめたのがです。若年者の方がその危険度が大きく、喫煙本数が増えるほど脳卒中発症の危険度が高まります。

 

さらに、呼吸器疾患の肺気腫(しゅ)・慢性気管支炎・気管支ぜんそくや、がん、低出生体重児など、さまざまな疾患の発症に影響しています。肺がんのうち、たばこが原因と考えられる(もし吸わなかったら、かからなかったと考えられる)肺がんの割合は70%に及びます。

 

は、吸わない人と比較したたばこを吸う人の死亡率です。たばこの煙の通り道である咽頭(いんとう)がんや喉頭(こうとう)がん、あるいは唾液(だえき)と一緒にたばこのヤニが飲みこまれることにより、発がん性物質の影響で、食道がん・胃がん・肝臓がん・膀胱(ぼうこう)がんが起こりやすくなります。たばこを吸う人の肺と吸わない人の肺を比べてみると、吸う人の肺は黒いススでおおわれています。 (知っておきたい循環器病あれこれ まだたばこを吸っているあなたへ(国立循環器病研究センター)より引用)

喫煙のリスクが周知され、たばこ税が増税されて、日本の喫煙者の割合は減ってきています。たばこ産業の「2018年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の平均喫煙率は27.8%でした。これは、昭和40年以降のピーク時(昭和41年)の83.7%と比較すると、約50年間で56ポイント減少したことになります。

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