53日間で休暇1日。過労死した中学教諭の遺族が法廷で語った言葉

 

過労死した教諭の妻が法廷で裁判官に訴えたこと

教員の「職場環境の悪さ」は本メルマガVol.327でも書いたとおり、10年以上前から指摘され続けてきました。長時間労働・休日出勤は当たり前、めったやたらに提出書類が多く、部活動の指導保護者の対応など、教師という職業に熱意ある人ほど、過酷な状況に追い込まれがちです。

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教員だけではありません。

私の知人も、9年前、心筋梗塞で突然死しました。彼は弱い立場の人たちを助け続けた弁護士です。仕事が大好きで、困っている人のために四六時中働いていました。仕事がら会食などに出かける機会も多く、朝から晩まで「弁護士先生」だった。

そんな彼と、突然、会えなくなってしまったのです。

葬儀当日、会場に入りきれないほど大勢の人たちが弔問に訪れ、壇上に所狭しとおかれた花の向こうで彼は笑っていました。いつものように。おおらかに、豪快に。

奥さまは弔問者ひとりひとりに深々と頭を下げ、「仕事が大好きな人だったので、寝る間も惜しんで働き、好きな歌をカラオケで歌い、たくさんの方たちに巡りあえた幸せな人生だったと思います。ありがとうございました」と一言一句噛み締めるように発し、気丈に振る舞っていました。

会いたくても二度と会えない底知れぬ悲しみに襲われた時、人は必死でその“心”を支える言葉を求めます。「好きな仕事していたのだから。本人は幸せだったでしょう」という言葉が、無念さと向き合うためには最善だったのだと思います。

もし、「長時間労働は命を削る悪しき働き方」「休息をとったほうが効率があがる」という常識が社会に浸透していたら、家庭人としての幸せが待っていたはずなのに…。

冒頭の過労死した男性教諭の妻は、昨年11月の法廷で、裁判官にこう訴えたといいます。

「つらい思いをする家族は私たちで最後にしてほしい」―――。

今日の判決。裁判官には「長時間労働は絶対にさせてはいけない」という判断してもらいたいです。

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