今になって出た「過剰なコロナ対策」の悪影響。いま子供たちにヘルパンギーナが流行している訳

 

「よくある流行りの風邪の1つ」になったコロナ

過去3年は、ヘルパンギーナをはじめ、インフルエンザ、夏風邪のRSウイルスなど様々なウイルス感染症がすっかり鳴りをひそめて流行しなかった。

ヘルパンギーナの流行状況
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1つのウイルスに感染すると、それに対する免疫応答が起きたり、ウイルスが吸着するための受容体が占領されたりして、あとから来たウイルスが流行しなくなる「ウイルス干渉」が起きていたためとみられるが、3年も経てば、いくら「第9波!」と騒がれようと、とうとうコロナも「ほかのと同じ、よくある流行りの風邪の1つ」になってしまい、乳幼児の間では、入れ替わって現在ヘルパンギーナが流行中、ということだろう。

コロナ発生前後に生まれた乳幼児は、3年間、さまざまなウイルスに感染して免疫を鍛えるという機会に恵まれなかった。コロナが特筆すべきものでなくなった以上、今後は、あらゆる感染症において、キャリーオーバー的に通常の何倍もの患者が発生すると思っておいたほうがいい。

生物である限り、感染症を回避することは不可能だ。できる限りたくさん遊んで、たくさん食べて、体力をつけさせるしかないだろう。

推奨される「マスクの着用よりも入念な手洗い」

ところで、このヘルパンギーナの流行を知らせる記事、なかなか面白いことが書かれている。

大便で広がる「糞口感染」に注意 ヨミドクター(読売新聞) 2023.7.11

ほお!

記事によれば、ヘルパンギーナの原因であるエンテロウイルスは、腸管で増殖するため、便の中のウイルスが圧倒的に多いらしい。そのため、「糞口感染」が主な感染ルートになるという。

糞口感染は、子どもが、他人のうんこを口に入れてしまうという意味ではない。

記事では、おむつを替えたり排便をしたりしたあと、しっかり手を洗わずに、あちこち触れていくと、その場所をほかの人が触り、ウイルスが何らかの経路で口の中に入ると表現。

小さい子どもと接する機会のない大人でも、ヘルパンギーナの免疫がない場合は、公共施設のトイレの便座やレバー、ドアノブ、蛇口などが感染源になる。そこからエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン、電車やバスの手すり、そしてタッチパネルやスマホなど、人が手で触れる部分を介して広がっていくということだろう。

ヘルパンギーナは、のどの奥でもウイルスが増えるため、鼻水や唾液を介した「接触感染」も起きるという。

現在、RSウイルスによる風邪も増えているが、こちらも「鼻水や唾液などを介した接触感染で広がります。感染を防ぐには、ヘルパンギーナと同様、こまめに手洗いをすることが重要」と警鐘を鳴らしていた。

そして面白いことに、コロナが5類になり、マスクを外す人が増えているが「マスクの着用よりも入念な手洗い」をはっきり推しているのである。

かつて、糞口感染・接触感染を頑なに否定して、「下水が完備されている先進国では大きな問題にならない」「接触感染はほとんどない」と主張しただけでなく、激昂して「帰りますよ!」と立ち上がり、腰のベルトをむんずと握りしめ、なだめようとした中川淳一郎氏を突き飛ばしたのに帰らないという芸を披露したM氏は、この記事を読み、なにを思うのであろうか。

「もう帰る」とキレる宮沢孝幸氏

便と一緒に排出されたウイルスは、近代化されて下水の完備された先進国なら、すべて下水に流れてゆき、外部に出て人に感染することはないというのは、やはり大きな思い違いだった。

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