今になって出た「過剰なコロナ対策」の悪影響。いま子供たちにヘルパンギーナが流行している訳

 

やはり間違いだった「コロナの接触感染はほとんどない」という主張

ヘルパンギーナの場合、おむつを替える際や、本人がうんこをした際に、直接、手にウイルスが付着するというルートももちろんあるが、腸からトイレに排泄されたピチピチのウイルスは、水洗トイレの水流によって、最大80万個、ミスト状の水分になってトイレ内に舞い上がっている。

ミストは、ドア、ドアノブ、ペーパーホルダーなどに付着するほか、床に大量に落下する。

ここで思い出すのは、血栓症などの症状を起こしていた初期のコロナは、ヘルパンギーナ同様、腸管で大量に増殖する特徴があったということだ。

2020年に話題になったクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の船内調査で、ウイルスが最も多く検出されたのは「トイレの床」と発表されたが、やはり、水洗トイレによってウイルスが舞い上がったこと、それが糞口感染の最初のルートと考えると辻褄が合う。

ウイルス検出多いのは「トイレ床」「枕や電話機」「TVリモコン」…クルーズ船感染者の室内 (読売新聞)2020.5.4

船内調査結果では、トイレの次に多くウイルスが発見されたのは、患者にもっとも近い「枕」、そして「電話機」「テレビリモコン」と手で触るツルツルしたものが列挙されていた。

接触感染の様子がはっきり想像できる。

この時、もし、乗客たちが持っていたスマホを検査対象にしていたならば、当然、多くのウイルスが見つかっていただろう。船内の電話機やリモコンより、確実に手に取る頻度が高いものなのだから。

「下水が完備されている先進国では大きな問題にならない」
「接触感染はほとんどない」

これらの主張は、やはり間違い!

「それでも糞口感染・接触感染はない」というなら、ヘルパンギーナの感染経路について批判して、納得のゆく説明をしてほしい。

私は、糞口感染や接触感染について、「誰が発信している説か」ではなく、その説明が論理的で、実際にわかっている調査結果などとつじつまが合い、納得できるものかどうかで判断していた。

ウイルス学者、感染症学者も、「どの大学の先生様が発信している説か」ではなく、改めて学問的に誠実に総括するべきではないか?

嫌がらせでしかないスパコン「富岳」の飛沫シミュレーション

個人的な話になるが、ここしばらく、週に何度か介護施設から引き取った洗濯物を洗っている。

特に感染性の病気があるわけではないが、大便臭がある時は、慎重に取り扱って、専用のバケツで漂白剤につけ置きし、使い捨て手袋をはめて揉み洗いしたあと、すすいでから洗濯機にかけ、終了後は、洗濯槽や洗濯機の外側、バケツの内外、作業周辺の床や壁、自分が手で触れた場所などを掃除するようにしている。

介護に関わっている人にとっては当たり前の作業で、厳密に言えば、もっと防備しないと意味ないよと言われそうだが、ミクロの世界の病原体や微生物というものは、自分が思ってもみなかった無意識の動作で、想像している以上の超絶な広範囲に拡散しているものなのだろうと思っている。

だが、同時に、「だからなるべく清潔を維持できるように、気を付けて取り扱おう」と思うまでで、洗濯物からの病原体や微生物の拡散状況を、科学の力ですべて可視化されたら非常に困るとも思っている。

そんなミクロの世界が何もかも表現されてしまい、いちいち意識するようになったら神経症になってしまうし、怪談話に影響されて、部屋の些細な物音にビビりあがるような、無用なパニックが起きるだけだ。

洗濯物に触れる人にストレスがかかり、周囲で具合の悪い人が出たら、「おまえが接触感染でウイルスを広げたのでは?」という疑いが生まれて、人間関係がこじれるケースも出てきそうだ。

コロナでは、スパコン「富岳」の飛沫シミュレーションが、むやみやたらと「他人の息は、こんなに広がっているぞ。気をつけろ」という印象を植え付けた。あんなものをテレビで放送しまくるなんて、嫌がらせ以外の何物でもない。

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