相次ぐ米高官の訪中も“時間稼ぎ”か。エスカレートする米中制裁レース

 

北京からすれば、米高官の訪中は建前で、中国が本格的な反撃に出ないように時間稼ぎをしているだけ、と映る。北京が反撃を躊躇しているうちに小さな有効打を繰り返し、先端産業を弱らせようする作戦だ。

もちろん中国もそんなお人好しではない。2020年12月に「輸出規制法」を制定したのに続き、翌年6月には「反外国制裁法」を制定。今年7月3日には商務部・税関総署がそろって「公告23号」を発出。希少金属のガリウムとゲルマニウムの輸出規制(8月1日から)に踏み切った。

ガリウムとゲルマニウムの輸出規制の影響については、すでにこのメルマガでも書いた。中国が本気で止めようとすれば世界の半導体のサプライチェーンに深刻な打撃を与えることは間違いない。

もし米中がこのままチキンレース的に制裁のレベルをエスカレートさせれば、両国を含め世界経済に及ぼすダメージは計り知れない。それでもバイデン政権は手を緩めず、むしろ同盟国・パートナー国を巻き込んで徹底的に追い込もうと攻勢を強めているのだ。

だが、そのアメリカのやり方が奏功しているのかといえば、決してそうではない。バイデン政権はアメリカへの製造業の回帰を掲げ、補助金や税控除、外交ツールを総動員して工場誘致を実現させてきた。なかでも中心は半導体で、昨年8月には「CHIPS法」も成立させた。しかし、実際に工場が稼働を始める直前になって、さまざまな問題が浮かび上がってきた──
(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2023年7月30日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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