アジア版NATOは同盟ではなく傀儡。対米従属と中国敵視で日本は自滅する

 

だが、この分野もすでに底が抜けている。ASEAN諸国は以前、南シナ海の領有権をめぐっで中国と鋭く対立していたが、近年は中国の経済影響力が大幅に拡大し、ASEANは中国との対立を回避して経済でよろしくやった方が良いという結論に達している。

ASEAN諸国は、まだ建前的に南シナ海の領有権を主張しているし、米国から促されれば中国を非難するが、実際はすでに南シナ海での中国の軍事施設拡大・人工島の建設などを黙認している。

米国(と日韓)は、そんな現状を知りつつ、声明文で中国を名指しで非難し、ASEANと関係強化すると言っている。米日韓がASEANと関係強化しても、すでに中国の経済圏・影響圏に入っているASEANが方向転換することはない。

Indonesia’s audacious Ukraine play is a message from the Global South

中国(中共)を非難する事案といえば従来、新疆ウイグル自治区や香港での人権侵害や民主破壊が米側で喧伝されていた。それらの分野の状況は今も変わっていない(香港民主化はもともと英国による茶番劇)。

だが、今回の米日韓サミットにおいて、それらの批判は姿を消している。米日韓が中国を非難したのは、すでに底が抜けて無効な南シナ海問題だけだった。茶番ばかり。戦うなら、もっとちゃんとやれよ。

そもそも中国の台頭がもたらす世界の多極化、非米化は、人類を豊かにするし、平和にする。米国は戦争ばかりしているが、中国は●小平以降、戦争していない。

途上諸国を借金漬けにして搾取した頻度は中国より米欧の方がはるかに高い。米国側がやっている歪曲に基づく中国敵視は、中国を非米側の雄にして強化してしまう隠れ多極主義的な策略になっている。

The Alliance

声明文は冒頭でちらりと「地政学的競争」のキーワードを載せている。これはウクライナ開戦以来、中露が結束して非米諸国を取り込んで資源利権を結集し、米国側が弱まっていく非米化・多極化のことだ。

声明文は、自分たちの領域を示す言葉として「インド太平洋」を使っているが、インドはすでに非米側の国だ。ASEANも非米側だ。中露を非難する国が米国側、非難しない国が非米側なので見分けられる。

Why China’s ‘united Asia’ is a tough sell

米国側の諸国は、米国から加圧されて中露を非難しており、米国の「同盟国」でなく「傀儡国」である。米国側には、国家主権がなく、今後は資源もない。崩壊寸前の金融バブルだけ。昔は先進国が途上諸国より上位だったが、今やすっかり逆転した。米国側は、非米側に馬鹿にされる存在に成り下がっている。

米国側は、もう非米側に勝てないのに、まだ「地政学的競争」とか言って、勝ち目があるかのように書いている。だが、どうやって勝つかは書かれていない。どんな競争になっているかすら明確にされていない。非米側が金資源本位制を形成しつつあることも無視されている。負け組確定。

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声明文は「グローバル・サプライチェーン(国際流通網)の混乱に関する政策連携」も提唱している。コロナ超愚策の無意味だった都市閉鎖、米諜報界が誘発した米中間の流通網の混乱によるインフレ激化、そして米国側から非米側への資源利権の移転による米国側の資源不足、などが連続する結果、米国側の物不足とインフレが激化していくことが、私が見るところの「流通網の混乱」だ。

権威筋は、そんな風に言ってない。米諜報界やウクライナ戦争がインフレを誘発したのに、米連銀の低金利策のせいにされて間違った利上げが強要され、米経済が自滅させられている。これに象徴されるように、米国側では、混乱に関する政策も大間違いなものになり、混乱がますますひどくなる。専門家たちの頓珍漢が激化する。

複合大戦で露中非米側が米国側に勝つ

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