コロナ感染で気づいた活動の力、“情報共有”というテクノロジーの福音

 

私の話では、この障がい者の学びの分野は、新しい道を切り開くマインドが必要との認識から、先に開催された東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センターでの講義を引用して、新しい学びを考えていく上での「成長のマインドセット」を提案した。

それは「フィックスド・マインドセット」(Fixed Mindset)と「グロウス・マインドセット」(Growth Mindset)の比較から示すとわかりやすい。

凝り固まって柔軟性のないマインドセットの状態をフィックスドといい、それはこんな気持ちに支配されてしまうことをいう。「どうせできない」「失敗したくない」「どうやっていいか分からない」「やったことがない」。新しいことに対する最初の反応として、多くの方が抱く不安でもあるが、何かを乗り越えるためにはこれらの気持ちは障害である。

これに対し、新しい事に対して常に「成長」のキーワードを持ち続けていれば、これらの言葉はがらりと変わってくる。それが「失敗から学ぼう」「挑戦してみて分かることがある」「努力し続けることができる」「全力を尽くしてみよう」などのマインドである。

新型コロナウイルスの試練を乗り越え、私たちが新しい時代を切り開いていると自覚する時、きっとこのマインドは必然的に機能しているはずだ。

今回、「コロナ禍を受けて」とのテーマでのシンポジウムで紹介したのも、社会状況が激変する中でも、私たちはそれをさらに発展的に乗り越えていくために、新しい学びを追究するために、常に成長マインドが支ええてくれることに自覚的になるべきだと考えたからである。

加えて、障がい者の生涯学習の可能性を追究し実践する方々は、各地域でその新しい考えや取り組みゆえに既存の枠組みからの疎外感を感じることも少なくない。それを共に切り開いていける共通のマインドが「やってみる」ことが原点であり、社会が持つ創発性を喚起できることを確認したかったのもある。やはり、テクノロジーの便利さは福音と受け止め、新しい発見に向けて挑んでいこうと思う。

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特別支援教育が必要な方への学びの場である「法定外シャローム大学」や就労移行支援事業所を舞台にしながら、社会にケアの概念を広めるメディアの再定義を目指す思いで、世の中をやさしい視点で描きます。誰もが気持よくなれるやさしいジャーナリスムを模索します。

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