自ら「球界の盟主」と言って憚らない東京讀賣巨人軍。そんな巨人を激震が襲った。続投が有力視されていた原辰徳監督が、3年の契約期間を1年残し事実上の「解任」となったのだ。2024年に球団創立90周年を迎える巨人を2年連続のBクラスに沈めた責任は重く、詰め腹を切らされた形だ。後任には阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチの昇格が決定している。
不倫問題で反社会的勢力に1億円を支払った過去も
原氏といえば二度目の巨人監督就任中だった2012年6月、過去に不倫関係にあった女性が残していた日記が反社会的勢力の手に渡り、彼らの求めに応じて1億円を支払ったとのスキャンダルが週刊文春で報じられ大きな話題となった。
その3年後のシーズンオフ、チームの成績不良の責任を取り監督を辞任。実際は今回同様の解任だったと伝えられている。後任には現役続行にこだわりを見せていた高橋由伸氏が就任したがわずか3年で「クビ」となり、何事もなかったように後釜に座ったのが原氏だった。巨人初の同一人物による3度目の監督就任だったが、前回の解任騒動を知るファンからは、自分を切った球団に里帰りすることに対して「プライドはないのか」と言った批判の声が聞かれたのも事実だ。
「投げる不動産屋」
そんな巨人には裏暗いエピソードが事欠かない。その筆頭格が桑田真澄元投手だろう。読売グループがかなりの額を肩代わりしたとも言われる元義兄による20億円の借金問題、渡邉恒雄氏がもみ消したと噂される金銭受領を伴う野球賭博疑惑、古くは密約の存在が囁かれたドラフトの強行指名等々、枚挙にいとまがない。
ナベツネという「絶対的権力者」の存在
こうした暗い過去の背景には、前出の渡邉恒雄氏、通称「ナベツネ」の存在がある。日本プロ野球会において絶大な権力を握り続ける渡邉氏だが、そもそもなぜここまでの影響力を持つに至ったのであろうか。ある野球関係者は語る。
「なんと言っても『読売新聞のドン』ですからね。政治部記者時代から培ってきたコネもあって、それこそ政界を動かすレベルの力があることは周知の事実ですから、野球界を牛耳るなんて朝飯前以前の話ですよ」
さらにこうも続ける。
「とにかく無茶苦茶ですよね、今はもうなくなりましたけど、逆指名制度をゴリ押ししたのもナベツネですし、カネと権力で野球なんてどうにでもなると思っているのは明白です。1リーグ制騒動のときの古田(敦也氏。当時のプロ野球選手会長)への『たかが選手が!』発言がナベツネのすべてを表してるんじゃないですか?」
ナベツネからすれば、監督もまた「たかが」と見下す対象でしかないのかもしれない。
今回解任された原辰徳氏といえば、健康食品や化粧品を扱う大手企業ファンケルのCMキャラとしてお馴染みだった。そのファンケル、社名の由来は「不安を蹴る」。原監督から阿部監督へ首のすげ替えによって、巨人軍の不安も蹴り飛ばされると良いのだが。