たった6千円の賃上げ。労働に見合わぬ待遇で施設を去る職員たちの現実

 

もう少しいますぐできる策も取り入れて欲しいです。

例えば、「仕事の分業化」です。これは以前から提案しているのですが、介護の現場はゴミ捨て、清掃、お洗濯、洗濯干し、アイロンがけ、イベントやアクティビティの計画・実施、など入所者のケア以外のお仕事がたくさんあります。「資格」がなくてもできる仕事が山ほどある。それを分業化し、パートで働く人や地域との連携をもっと強めて、多種多様な職種の人たちが働く職場にすれば良いと思うのです。

ケアについても、食事、排泄、入浴には専門知識が必要ですが、「おしゃべりする」というのも大切なケアです。

たとえば、地域の人や企業で働く人たちが「朝2時間、週1」「夕方2時間、週2」といった具合にケアを分担すれば、ケアの質も上がるのではないでしょうか。

介護施設は想像以上に「閉鎖された空間」です。入居者さんが外に出ないように、ドアには鍵がかけられていますし、訪問者も訪問医や家族といった限られた人たちです。

施設が一つの町のように、いろいろな人が出入りできるようになれば、介護職員の気分転換やいい意味でも刺激にもなるように思います。

また、日本では最近やっとリハビリに力を入れる介護施設も増えてきましたが、欧州や豪州では、リハビリが基本です。お散歩ができる高齢者にはGPS付きの携帯電話を国が配布し、地域で見守りをするとか。現場視点にプライリティをおいた政策がなされています。

日本の政治家さんには、1週間くらい介護実習でもさせた方がいいかもしれません。壁の向こうから見下ろすばかりじゃなく、介護現場の実態を肌で感じて欲しいです。

それに…介護職員の賃金を大幅に上げるには、税金を増やすしかないわけで。減税、減税、減税、って連呼が昨日聞こえてましたが、日本、大丈夫か?

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