かつては一般入試選抜組がほとんどを占めていた大学入学者ですが、昨今は指定校推薦やAO入試等での合格者が半数を占めるほどとなっているのが現状。そんな「入試タイプ」を、学生に対して就活時のエントリーシートに記入させる企業が増えつつあるのも潮流のようです。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住作家の冷泉彰彦さんが、そんな実態を紹介しつつ、学生に対しては「対抗策」をレクチャー。その上で、入試形態をしつこく聞いてくる企業を警戒すべき理由を解説しています。
※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年12月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
なぜ就活のエントリーシートで「大学入試のタイプ」を聞く企業は危険なのか
最近の就活では、ES(エントリー・シート)に「入試形態」を書かせる企業が増えているそうです。つまり、一般入試、内部進学、AO入試、指定校推薦など、エントリーシートの欄にチェックを入れる項目があり、大学に「どうやって入ったのか?」を調べるのです。
いかにも「やりそうなこと」であり、面接の話題にしようという魂胆はミエミエです。ですから、就活生は面接の際に対応していけば良いわけです。
「一般入試は、地頭(じあたま)の良さの証明と思われている。だが、答えのある質問、期限のあるタスクには対応できていても、問題発見力、問題提起の能力は未知数と見てくる」
「内部進学は、高校の成績と学部との相関を見た上で、進学した学部へのその時点での志望動機などを聞いてくる」
「AOは、基礎学力の証明を欲しがってくる。また入試の具体的内容を聞いてくる」
「指定校推薦は、高校のレベル、成績などを確認に来る」
というようなことは十分に想定できるのですから、ゲームのルールを頭に入れた上で対抗していけばいいと思います。
では、この種の「入試形態」をしつこく聞いてくる企業というのは、別に当然の行動をしているだけで、問題はないのかというと、冗談ではありません。問題は大アリだと思います。
それは大学教育を軽視しているということです。大学とは、入試という「実力判定の資格試験」、つまり「その大学に入ったこと」がいちばん大事であって、大学の4年間に学んだことは、企業としては評価していないという、昔ながらの姿勢を今でも守っている、そんな会社だというのは明らかです。
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大学で学んだことは「忘れてしまえ」という多くの伝統企業の姿勢