「食品から摂る栄養素は有効であるが、サプリから摂ると無効」という意見について、日本ではどう考えればよいか、という点ですが、
A) 食・健康情報評価協会さんのサイトが参考になります。
「食と健康」の重要論文をすべて調査し、健康情報の評価をしているとのことで、このサイトは信頼度が高いと思います。
このサイトの冒頭に、
- 野菜は多くの疾患の予防に効果的
- 肉、脂質、炭水化物は要注意
- 食品からとる栄養は効果的だが、サプリは効果的とはいいがたい
と記載してあります。私も基本的に賛成です。
ただ、肉と脂質に関しては普通の人においては、賛成ですが、酸化ストレスの極めて少ない糖質セイゲニストにおいては問題はないと考えています。
私は、最近は、「糖質制限食は脂肪・蛋白質無制限食です」と説明しています。
日本人の祖先は、38000年前の旧石器時代から日本に居住し始めてからの22000年間、マンモス・ナウマン象・ヘラシカなど肉食が主だったことがその根拠です。
B) 米タフツ大学准教授のFang Fang Zhang氏らが「Annals of Internal Medicine」4月8日オンライン版に発表した、「サプリメントに死亡リスク低減効果なし」という論文があります(当メルマガvol.1026参照)。
これも信頼度は高いと言えます。
「ビタミンAとビタミンK、マグネシウム、亜鉛、銅を適度に食品から摂取すると、全死亡率または心疾患や脳卒中などの心血管疾患による死亡率は低下するが、サプリから摂取しても効果はない」
食品から摂取すると効果があるのに、サプリからでは効果が無いという事実は、とても興味深い報告です。
高雄病院の推奨する「スーパー糖質制限食」においては、幅広い食品を満遍なく食べるので、糖質だけは制限していますが、必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、全て食材から摂取可能なので、サプリは必要ないのです。
「サプリメントは栄養バランスに富んだ食事の代わりにはならない」というのは、けだし名言と思います。
一方、ベジタリアンの場合には、ビタミンB12、ビタミンD、EPA・DHAが不足しやすいので、それらを、サプリで補充することには意味があります。
また、生理のある女性や出産後の女性の鉄欠乏性貧血には、保険内で鉄剤を処方することも必要です。
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