【起業記】大繁盛ラーメン店『町田商店』(その4) 「店舗プロデュースへ」

 

● 運命の出会い

当時僕は、経営者の知り合いといえば、プロデュース業のパートナー企業のオーナーさんがほとんどで、年齢も1周り以上年上の方ばかりだったので、田川君は若いのに凄いね、などと言われていて少し天狗になっていた部分があったと思います。

しかし、2013年の夏のある日、ガイアの夜明けというTV番組を見て、それは思い上がりだったと気づかされます。

「サブライム花光雅丸」

僕の1つ年上ながら、最年少100店舗に最年少年商100億達成。それ以上に心揺さぶられたのは、自分が創業から思い悩んでいた従業員の独立を叶えていることでした。「将来の夢は独立です!」という志を持った従業員に対して、「応援するよ」と口にはしていたものの、優秀な人間に辞められると困るから会社にも残って欲しい、というジレンマを抱えていた自分に対して、まろさんは「独立という従業員の夢を叶えながらそれと共に会社も一緒に成長する」という、まさに自分が理想とする会社を作り上げていました。

僕はすぐにまろさんのブログを夢中で読み漁りました。小学生の時、自分の稼いだお金でシベリアンハスキーを買ったこと、大学時代に1000万貯めたこと。そして何より驚いたのが、生涯で1兆円企業にすると公言していたことでした。

「世の中にはこんな化け物がいるんだ」
「この人に会わなければ」

何の根拠もなかったのですが、この人に会えば人生が変わると思いました。

しかし、会おうにも何の繋がりもなかった僕は、ガイアの夜明けで取り上げられていた馬車道の『ひもの屋』に足を運び、そこのオーナーさんの保坂さんに話を聞きに行きました。

仕事中で忙しいにも拘わらず、色んな話を聞かせてもらえました。その口からは、サブライムやまろさんに出会えたことへの感謝、そして独立できたことへの喜びを語ってくれました。

独立オーナーの生の声を聞くことで、まろさんに会いたい気持ちがより一層強くなりました。

何か会えるきっかけを作れないかと調べていくと、財務コンサルのCFOの鈴木大徳さんと一緒にセミナーを開いていることが分かりました。東京公演は既に終わっていましたが、名古屋公演はまだ残っていました。僕はセミナーに行けば、懇親会で会えるかもと思い、名古屋公演に行きましたが、まろさんは懇親会に参加しなかったため、会ってお話することはできませんでした。

しかし、セミナーの内容は今までに聞いたことのないもので、勉強になることばかりでした。投資回収率を徹底的に磨き上げた業務委託のスキーム。役員報酬や保険で利益をつぶすのではなく、利益を出し、純資産を積み、レバレッジを掛け、銀行融資を最大限に引き出し、それを投資回収率の高いビジネスに投下する。全てがロジカルで、いかに自分が今までどんぶり経営をしてきたのかを知ることができました。

その後も中々会えるきっかけを掴めないままいましたが、池袋の新店舗を出店する際に良くしていただいた、『アガリコ』の大林さんにまろさんの話をしたところ、あっさり紹介してもらうことができました。

まろさんはすぐに僕をご飯に連れていってくれたのですが、仕事の話は最初の30分くらいで、後はずっとイッキさせられました。次の日は、人生初めて、夜寝るまで二日酔いでした。

その後、まろさんに井戸さんを紹介してもらえました。井戸さんに初めてお会いしたのは、まろさんが経営する西麻布のバーラウンジでした。仕事の話はあまりできませんでしたが、井戸さんがカラオケで歌っていた曲が、自分が好きな曲ばかりでテンションが上がってしまい、僕は初対面なのに図々しく、肩を組んで一緒に熱唱してしまいました。

僕は、一夜にしてビッグスターに近づけたと喜んでいたのですが、井戸さんは後日、僕のいない所でまろさんに「あいつ、ゲイじゃないのか?」と真剣に話していました。

おそらく緊張もあって、井戸さんが話をしている時に、しっかり話を聞こうとして、じっと目を見つめていたのが裏目に出てしまったのだと思います。井戸さんと近づくどころか溝ができてしまいました。でもそれから何度かお会いさせていただいて、なんとか誤解を解くことができました。

その後も、井戸さん、まろさんを介してたくさんの方たちを紹介いただき、今後の自分の会社の方向性を決める上で必要な知識をたくさん得ることができました。

会計士のCFOさんをご紹介いただき、財務コンサルとして迎え入れたことは、財務がかなり強化され、キャッシュポジションが一気に上がり、出店計画を上方修正することに繋がりました。

今年は現段階で、直営店5店舗を出店し、年内にさらに10店舗の出店計画があります。しかし成長の中、社内で歪みを感じることも増えてきました。『町田商店』直営店は、美味しいラーメンを最高に元気で、最高に心のこもった接客で提供することで、お客様に満足していただくという想いで運営してきましたが、それができていない店舗があるという現実も目の当たりにしました。創業以来、一度も割ることのなかった売り上げ昨年対比も、初めて割る店舗も出てきました。

スタッフの成長のステージ作りのために、店舗展開が必要と考えていたのに、いつの間にか店舗展開するために人を集めて育てなくてはと、目的と手段が逆転している自分にも気づきました。

年内直営店10店舗の出店は、物件も決まっているため、計画どおり進めますが、来年は既存店舗を徹底的に磨き上げ、その上で本当に次に進むべきかを見極めるために踊り場を作ります。もしかすると1店舗も出店しないことになるかもしれません。

僕は自分のお店が、自分が行って、本当に満足できるお店でないと嫌です。全店、家族や友達に紹介して恥ずかしくないお店にします。飲食人として当たり前のことを当たり前にできるようになるため、全力を尽くします。

そして働く全てのスタッフが心からここで働いてきて本当に良かったと思えるような誇り高い会社を創ります。

print
いま読まれてます

  • 【起業記】大繁盛ラーメン店『町田商店』(その4) 「店舗プロデュースへ」
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け