プーチン露が総攻撃へ、敗北確定ウクライナ。西側メディアの「大本営発表」に騙され続けた世界

 

「交渉」でロシアを封じ込め可能という大きな勘違い

ただ、真偽のほどは分かりませんが、プーチン大統領は周辺国には関心がないそうで、「ウクライナの問題が解決した後は、バルト三国にも、ポーランドにも触手を伸ばすことはない」と明言していますが、過去に何度もロシア・ソ連に蹂躙された記憶が残る周辺国としては、最近、ロシア優勢の分析が増えてくる中、警戒心を高める結果に繋がっており、これはまた地域の緊張の高まりをさらに加速させることにもなってきています。

フィンランドの新しい大統領(ロシア強硬派)曰く、「プーチン大統領を信用することは絶対にできず、態勢が整ったら、彼は周辺国に戦いを挑むだろう。恐らく私の任期中にロシアはまた大きな戦争を起こす。もしかしたらフィンランドが直接攻撃を受けるかもしれないし、それはポーランドかもしれない。その日に備えて欧州は結束し、自前でロシアと対抗できる力を用意しておく必要がある。核兵器のシェアも選択肢の一つとして検討しなくてはならない」とのことで、確実にテンションが高まっていることを感じます。

ロシアによるウクライナ侵攻から来週でまる2年が経ちますが、国際社会は確実にウクライナ疲れを見せており、Stand by Ukraineの声も聞かれなくなってきていますが、このままではウクライナの存在がなくなってしまう恐れが出てきてしまいます。

支援疲れと国内における関心の低下、そして同時進行的に起こる紛争とエネルギー資源や食資源の危機、インフラ…様々な問題に苦しめられる中、欧米諸国とその仲間たちはウクライナに対して“早期の停戦”を呼びかけるようになってきました。

停戦に関しては、この戦争においては、ロシアがもし武器を置くのであれば、戦争は即時に集結し、停戦が成立し、恐らく、例えは悪いですが、プーチン大統領やその周辺は、舌をペロッと出して「思うようにはいかなかったけど、勝ったね」とbusiness as usualに戻るでしょう。

しかしウクライナにとっての現時点での停戦は、武器を捨てることは即時にウクライナという国家がなくなることを意味しかねません。ウクライナという国名は残るかもしれませんが、それは実質的にはロシアと一体の存在に立ち戻ることになりますし、これまでロシアが何度も繰り返し停戦という約束を破ってきた歴史に鑑みると、頃合いを見てまたウクライナに襲い掛かり、今度は徹底的に蹂躙することになる可能性が高まるからです。

それを防ぐにはロシアを永続的に封じ込め、影響力を拡大する道を閉ざし、囲い込むことで勢いを削ぐ必要があります。

ただし、それを、交渉を通じて行おうというのは大きな勘違いだと、私は経験上、痛く感じています。

以前、ロシアとの交渉に臨んだ時に思い知ったことは「ロシアにとって交渉とは結果を得るために妥協するプロセスでは決してなく、全面的に自分の要求を押し通し、相手にのませるために行うもの」というメンタリティーが強くかつ堅く出来上がっており、手法としては【無理難題を交渉の最初にぶつけ、あとは黙り込んで、相手が我慢できなくなって妥協し始めるのをひたすら待つ】という独特のスタイルを貫きます。

ロシアと対峙し、警戒する欧米諸国とその仲間たちはその戦略に耐えられるでしょうか?

そして、今回のウクライナ侵攻に際して行った厳しいロシア包囲も結果的に穴が開き、結束に解れが出た経験に照らし合わせた時、本当に永続的に囲い込むような覚悟と結束を維持することが出来るでしょうか?

そのカギを握るのは、ロシアがあてにする中国がどう動くかということかもしれません。

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