植田日銀総裁が「少子化対策」で歴史に名を刻む日。子供1人に1000万円分“ETF配布”でパパママ笑顔、投資家ニッコリ?

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日銀が19日の金融政策決定会合で、マイナス金利解除とYCC(イールドカーブコントロール=長短金利操作)撤廃を決定。同時に、これまで株価を押し上げてきたETF買い入れも終了となり、その「出口戦略」が注目を集めています。これに関して、Windows95を設計した日本人として知られるエンジニアの中島聡さんは、「少子化対策として、子供一人あたり1000万円相当のETFを配布してはどうか」と提案。目先の利益確定によって株式市場全体に売り圧力をかけるよりも、よほど国益にかなうというアイデアの中身とは?(メルマガ『週刊 Life is beautiful』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです。メルマガ原題:今週のざっくばらん「日銀が保有するETF」

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

ETF爆買い終了で懸念される日銀の「出口戦略」

先日、日銀が保有するETFの含み益が34兆円(時価は71兆円)に膨らんだという記事を読みました(日銀ETFの含み益34兆円 株高で過去最大、活用策を議論 – 日本経済新聞)。最近の株高を反映してのことですが、難しいのはエグジット・プランです。

アベノミクスの一環として、日銀は大量のETFを購入しましたが、これは市場を歪める「禁じ手」です。日銀が株を買い支えたことにより、その安心からか海外からの資金も流入し、株価は経済の成長率を上回って上昇しました。

難しいのは、いつ、どんな形で株を売り出すか、という出口戦略(エグジット・プラン)です。日銀が売りに転じれば、当然ですが、需給バランスが崩れて株価は下がるし、それを嫌った売りが殺到すれば暴落の可能性すらあります。

子供一人あたり1000万円相当のETFを配って「少子化対策」を

そこで考えたのですが、少子化対策として、生まれる子供一人あたり、1000万円相当のETFを渡すのが良いのでは、と思いついたので、少し考察してみます。

これを実行する上で満たすべき、いくつか重要な条件があります。

  • ETFの全てがすぐに市場で売却されては困る(需給バランスが崩れて、株価が下がる)
  • 収入制限など設けずに、子供を授かった全世帯に配りたい
  • しかし、富裕層までもらう不公平感を無くしたい
  • 可能な限り、子供のために使って欲しい(学費など)
  • 一部は税金として国庫に入れたい

これらの条件を満たすために、以下のような形でETFを渡すのが良いと考えます。

  • ETFは、親ではなく、子供に対して渡す
  • 子供が18歳になるまでは、ETFは親が管理する
  • 親は、必要に応じて(学費、保育費、生活費など)、ETFを売却できる
  • 親が売却した場合、その売却代金は、収入が多い方の親の収入として課税する(通常の累進課税)
  • 子供が18歳になると、ETFは子供の管理下になる
  • その後、子供がETFを売却した場合は、コスト0で入手した長期保有資産として、キャピタルゲイン課税(一律20.315%)をする

子供が18歳になるまでは、ETFの売却益を親の所得として課税するのは、ETFをすぐに売却しにくくなる効果と、富裕層が売却した場合に、その多く(地方税も併せて50%近く)を税金として徴収することにより、不公平感を無くしつつ、国庫を潤すためです。

結果として、貧困層は、必要に応じて少しづつ売却し、子供の養育に使うと予想できます。

逆に、富裕層の多くは、子供が18歳になるまで手を付けずに子供に渡し、大学に通うための学費や、その後の起業資金などに使わせることになると考えられます。

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