指にとまった赤トンボ。都立小山台高校野球部が「大輔のために」力を振り絞った理由

 

小山台は都内有数の進学校で練習スペースも時間も限られており、甲子園はおろか上位進出さえ難しいのが現実でしたが、大輔の事故をきっかけにしてチームとしての絆が深まり、必死に練習に励むようになったのです。

私もまた、大輔が遺した言葉をもとに、「日常生活に野球の練習がある」「何事もコツコツ努力する先に光があるんだ」と、選手たちに心の持ち様や、日常の基本姿勢の大切さを、以前にも増して強調するようになりました。

そのような“大輔のために”という私たちの思いが、天国の大輔に届いたのでしょうか。

事故から4か月後に行われた千葉経大附高との試合中、ベンチに座っていると一匹の赤トンボが私の膝に止まり、じっと動こうとしません。

私はハッとして、思わず「大輔か?」と手を伸ばすと、赤トンボは私の指にしっかり止まったのでした。

さらに指から離れていった赤トンボに「おい、大輔!」と呼び掛けると、またぴゅーっとベンチに舞い戻ってくる。

その瞬間、私も選手たちも涙が溢れて止まらなくなりました。

奇しくも大輔が最初に活躍してレギュラーを勝ち取ったのがこの千葉経大附高のグラウンド。

大輔は赤トンボに姿を変え、私たちのもとに戻ってきたのです。

image by: Shutterstock.com

致知出版社この著者の記事一覧

京セラ・稲盛和夫氏、サッカー日本代表・岡田武史氏など、人間力を高める月刊誌『致知(ちち)』に登場した各界一流人の名言や仕事術など、あなたの「人間力アップ」に役立つ情報を配信中。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 致知出版社の「人間力メルマガ」 』

【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

print
いま読まれてます

  • 指にとまった赤トンボ。都立小山台高校野球部が「大輔のために」力を振り絞った理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け