文筆家がEvernote使用で陥っていた“使いこなしたい症候群”。「深く考えずに情報を保存しておく」時代は終わった

 

■かつての資産

というわけで、Evernoteからの退避を進めていたわけですが、昔のEvernoteアカウントに存在していた7万ほどのノートの移行はほぼ諦めました。一部はUpNoteに移動させたものの、「だから何?」という感じに留まっています。ようは保存する場所を移動させただけ。それ以外の変化はまったくありません。

そもそもそれまでまったく使っていなかった情報を、どこか別の場所にそのまま移動させたからといって一気に活性度が上がることはありません。活性度を上げるためには何かしら「手を入れる」必要があり、7万ほどのノートにそんなことをしている時間などないわけです。

その意味で、Evernoteから「移行」したものはほとんどありません。もともとEvernoteは「サブ」で使っていたので、そのサブ的な情報の位置づけがもう一段下がった──お蔵入りになった──、という状況です。

その意味で、「脱Evernoteした」というよりは、ある種の情報保全の徹底をそもそも止めてしまった、というのが近いでしょう。

■テキストファイルで

その代わりに、必要な情報はテキストファイル(mdファイル)で保存するようにしています。

「備忘録」的な情報──アドレス帳、チェックリスト、アンチョコ──は、テキストファイルに記述して、Textbox下のフォルダに保存しておきます。そうしておけば、ファイル名にインクリメンタルサーチがかけられます。一瞬で見つけられるのでラクチンです。

プロジェクトの情報も、テキストファイルにまとめます。Evernoteは、普通のテキストとチェックボックス・タスクを混ぜられる優れた機能を持っていますが、マークダウンで記述すればテキストファイルにチェックボックスを表示させることも可能です。

しかも、Textboxでは「すべてのファイルに存在しているタスクを抽出して表示させる」こともできます。Evernoteのタスク機能や、EmacasのOrg-mode(のAgenda)と似た機能です。

ゆくゆくは、PDFファイルにもインデックスを作り、インクリメンタルサーチで検索できるようにしようと考えています。そこまでできたら、ほとんどEvernoteは必要ありません。

■Webクリップは?

Webクリップに関しては、記事のタイトルとURLを保存するだけでいいなら、Textboxにメモしておきます。本文のすべてを残したい場合は、UpNoteのWebクリッパー機能を利用します。

昔はどちらの場合でも区別せず全文をWebクリップしており、その結果検索機能が使い物にならなくなりました。その経験を踏まえて、Web記事を保存する行為にも濃淡をつけています。

ちなみに、そのWebクリッパー機能も自作ツールでできたらいいと考えていて、そのための準備も少しずつ進めています。

なんにせよ、Evernoteが担っていた大きな役割は解体され、それぞれの部品はそもそも実施されなくなるか、簡易化されつつある、というのが私の現状の「情報保存体制」です。

でもってその役割の多くは、Textboxが担っています。

この記事の著者・倉下忠憲さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 文筆家がEvernote使用で陥っていた“使いこなしたい症候群”。「深く考えずに情報を保存しておく」時代は終わった
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け