なぜ、イスラム国の指導者がイスラエルの工作員であることに触れられないのか?

 

CIA元職員のエドワード・スノーデン氏によると、イスラム国の指導者バグダディ氏は実はサイモン・エリオットという名のユダヤ人で、イスラエル諜報機関モサドの工作員であることが暴露されています。現在、混乱を極めるシリア情勢を読み解くキーワードにもなるこのリークについて、元戦場ジャーナリストの加藤健二郎さんは自身のメルマガで、「イスラエルがISを誕生させた」という説を検証しています。

IS国のバグダディーさん

IS(イスラム国)の最高指導者バグダディ氏の正体が、イスラエル諜報機関のサイモン・エリオット氏であるという説は、日本のメディアではなるべく触れないことにしているようだ。専門家やジャーナリスト評論家などへの質問としても、まず、出てこない。その理由は「それを言っちゃあ、みもふたもない」からか? または、この説に反対意見の人も受け入れる意見の人も、どららも、なんの証拠も確信も持ててないからか。

こういうことを前提に、ちょっと、周辺情報論で、陰謀論も避けずに攻めてみたい。

2014年9月に、日本人捕虜湯川さんの裁判に絡むということで、日本から、イスラム教徒の中田考さんが招聘され、もう1人のイスラム教徒常岡さんも同行を許された。2人は、約束通りISに入国できて案内役と合流し、裁判立ち合いは実現しなかったものの、2人とも特に問題なくISから出国できている。

この「当たり前のこと」が約束通り行われたところに、カトケンとして、ISの組織に欧米的なモノを感じた。それは、カトケンのイスラム圏に対するイメージとして「日本人が考える当たり前のことが約束通りに運ばない」というものが強いからだ。

おそらく、イスラム圏に強い中田考さんは、カトケン以上に「イスラム教国の行政システムはスムーズになんか動かない」ということを熟知していることであろう。中田考さんの著書でも、エジプト留学中の体験記で、数週間で完了しそうな手続きが2年もかかることが書いてあった。

中田さんらのIS訪問後の、誘拐→人質→処刑の頻度をみると、ISに入国できたあとに、無事に出国できる確信を中田さんは持てていたのだろうか?と。考えようによっては、欧米イスラエル的な行政構造を持っているISであれば、確信は持てたかもしれない。中田さんと常岡さんが、長い目でみたIS訪問ではなく、滞在を1週間でさえ伸ばしたくないタイトなスケジュールで行っていたことは放映TVからもわかる。「ISはまさに普通のシステムを持った国。イスラム原理主義の国がふつうのシステムをもっているなんて怪しい」と能天気なカトケンも感じたのでした。

イスラエルがISを誕生させたとしたら、そのメリットはいっぱいある。アラブ人同士で戦争させて弱体化させることがイスラエルのメリットなのは誰でもわかる。さらに、人質の処刑映像を公開することで、イスラムの野蛮なイメージを世界に広げられる。敵側から入り込んだ工作員が、組織を過激な方向にもっていくというのは、3つの理由で常套手段だ。1つは、過激にすることで組織内の穏健派と対立させ、つまり、組織内を対立させる。もう1つは先述したイメージダウン。3つ目は、自分が急進派になることで潜入工作員である疑いを持たれづらくするため、などなど。

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